おすすめの一冊

落合陽一さんの著書『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書』

みなさん、こんにちは!

作文講師の菅野恭子です。学習塾シンクスで作文クラスを担当しています。

 

落合陽一さんの著書『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書』を読みました。それにしても長いタイトルですね!(笑)

教育にかかわる身としては、とても興味深い内容で、考えされられる部分も多々ありました。

詳細はぜひ読んでいただくとして、作文指導にも関係する話題がありましたので、その部分を重点的にお伝えしたいと思います。

論理的な考え方をするための言語教育が必要

これからの時代の教育の流れとして、STEAM教育が話題になっています。

落合さん曰く、日本のSTEAM教育に足りないものは、

  • 言語(ロジック化など)
  • 物理(物の理という意味で)
  • 数学(統計的分析やプログラミング)
  • アート(審美眼・文脈・ものづくり)

の4点だと。

その中でも、言語に関していうと、ロジカルシンキングとアカデミックライティング、とりわけアカデミックライティングは日本の中等教育では教えてもらえない分野になると。

落合さんは、アカデミックライティングのことを、

相手が理解できる意味の明確な単語を使い、論理的に正しく意味が伝わる文章を書くということ

と解説しています。

こういった技能は大学や就職してから学べばよいというわけではなく、言語は家庭内で習慣化されるものであることを考えると、家庭内で身に着けていくべきだと指摘しています。

また、英語の早期教育が盛んですが、

英語の早期教育を始める前に、まずは論理的な日本語をきちんと話して書けるようになる家庭教育が大事です。

とも述べています。

 

これは、長年作文教育に携わる身としては、まさにわが意を得たりといった意見。

ロジカルな言語能力は家庭で育てることができるが

そして、ここからが本題。

家庭でのロジカルな言語能力を鍛える習慣として挙げられている内容が、まさに、作文を書く前に生徒さんと私が話している内容そのものなのです。

下の図がその例です。

ダンスを習いたいという子どもに、なぜ習いたいのか、自分の思いを言語化する訓練の一例です。

作文の勉強では、毎週この過程を、講師である私とやりとりするわけです。

昨日の作文クラスでも、水族館の生き物の中でサメがいちばん好きだとお話ししてくれた子に、

「サメのどんなとこが好き?」

「強いから好きだったら、シャチとかも好き?」

「なんでシャチじゃダメなんだろう?」

「口元がスマートにとがったところがいいのかな?」

などなど質問をして、「好き」の理由を深く考えていきました。

 

頭の中にぼんやりとあった考えが、だんだんと明確な形になり、言葉として口から出てきます。その出てきたキーワードを紡ぎ、読み手に伝わるように文章にしていく。

作文そのものが目に見えて上達することも、もちろん作文を学ぶ意義だとは思うのですが、それよりもまず、自分の考えを言語化し、他者に伝えるという訓練ができるのが、作文を学ぶいちばんの意義だと、私は考えています。

 

落合さんが言うように、家庭内でこのようなやりとりが常にできるのが理想ではあります。

でも、どの家庭でも親は忙しいです。特に、日常的に子どもの世話をするお母さんは、常にやることに追われ手一杯で、心の余裕があるときにしかこのやりとりは不可能ではないかと思うのですよね。

私も3人育てましたが、心の余裕などありませんでしたもの。

ですから、なかなか難しいという部分を作文を学ぶことで補うことができれば、と思うのです。

目に見えないものこそ大切

大人は、つい、勉強したことが実感として理解できるドリルなど、形に残る目に見える勉強が好きですよね(笑)。

内容はともかく、「ああ、ちゃんとやってるじゃないの」と思えればそれで満足できるのもよくわかります。

でも、大切なものは目に見えないというとおり、こうした思考の言語化そのものが、何よりの学習になっていると思います。

作文の学習は、目の前に迫ったテストの点に直結するわけでもありません。

しかし、人生をどう歩んでいくか、そんな大きな事柄を左右してしまうくらい大きな勉強ではないかと思います。

 

落合さんの著書は、そのことを示唆してくれているように感じました。

 

言語に限らず、日本の「脱・近代」としう視点で書かれているこの本、とても面白いし、落合さんの著書にしては、とても読みやすい文章で書かれています。(ご本人もそう書かれていますが)

ぜひ読んでみてください。

 

ABOUT ME
菅野恭子
筑波大学第二学群日本語・日本文化学類卒。 作文指導に定評のある言葉の森にて指導に携わる。 現在、言葉の森の教材・指導法にてシンクス東品川教室・シンクス上永谷教室・シンクス阪東橋教室で作文教室開講中。 2000年2001年2002年生まれの三兄弟の母。