みなさん、こんにちは!
作文講師の菅野恭子です。学習塾シンクスで作文を教えています。
先日のシンクス東品川教室での作文クラスでのこと。
小2女子のお母さんが、
「夏休みの宿題に一行作文があるんですけど、一行作文だから一行でいいのに、いつも三行くらい書くんです。書くの楽しいみたいです。」
とおっしゃっていました。
こんなひとことをいただくと、最高にうれしくなります。
夏休みは感想文だけでなく、日記や、ちょっとした作文の宿題もありますね。
なんにおいても、「書く」というスキルは必要。
小さいころから「私、書くのは得意!」と思えると、その後も、作文や小論文、記述式の問題などに抵抗なく取り組めるメリットがあります。
苦手意識を植え付けないためには? というところで、ちょっと気になる話題があったので、今日はそのことについて、お伝えしたいと思います。
思ったことを書いてはいけないのか?
夏休みに入ってすぐのころでしょうか?
国語辞典を編纂している飯間浩明さんという方のツイートが話題になっていました。
子どもが作文嫌いになる理由や、その解決法などについてをツイートされていたのです。
そのひとつがこちら。
子どもが作文嫌いになる理由のひとつに、書いてはいけない(と本人が思う)ことが多すぎる、ということがありそうです。学校行事のことを書くにしても、「つまらなかった」なんて書くのはとんでもない。空気を読み、優等生的な文章を書きたい。でも、書けない。それで悩む、という子が多いのでは。
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2018年7月24日
学校で書く作文、または学校に提出する作文には、書く内容を厳選しないといけない。
ちょっと古いですが、忖度しなくてはいけないようです(笑)
たとえば、音痴なので合唱コンクールが苦痛で仕方ない子にとっては、合唱コンクールなんてなくなればいい学校行事№1ですし、持久走が苦手で走るのが苦痛で仕方ない子にとっては、マラソン大会なんて大っ嫌い! となりますよね。
素直な気持ちを作文に書くなら、
合唱コンクールなんて、なんのためにあるのかさっぱりわからない。こんな行事、なくていいのにと、毎年毎年考えている。
となってしまいます。
でも、こんなこと書いてしまったら絶対先生に叱られるよね……。
そう思ったら、何を書いていいのかさっぱりわからない。結果、作文なんて嫌いとなってしまうのではないか。
飯間さんはそう言っているわけです。
思ったことは素直に書くべき
私が長い期間に渡り指導していたきょうだいがいました。
きょうだい3人、みんなに教えていたのですが、いちばん上のお姉さんは年長さんから高2までという長期間のおつきあいでした。
そのきょうだいのいちばん下の男の子が1年生になったときのこと。
真ん中のお姉ちゃんは、3年生に進級しました。そのお姉ちゃんの作文には、とても正直な気持ちが綴られていました。
弟が一年生になったのはうれしいけど、お母さんがつかれていて、いらいらしておこるのでやだです。
このきょうだいのお母様は、お子様たちをあたたかく見守ってくださる方です。ですから、「何を書いてもお母さんは怒らない」という前提で書かれています。
この作文を読んだお母様は、
「たしかに、1年生になってあれこれと手のかかることが増えて、とっても疲れていたんですよね。おまけに仕事もバタバタで。子どもはよく見てますね。気をつけないといけないですね~。」
とおっしゃっていました。
優等生風の意見が書いてあればよい作文なの?
お母さんにそう気づかせてくれる内容になったのも、子どもがお母さんの反応など気にせず、正直にほんとうのことを書いてくれたから。
これは、きっと、学校の作文で書いたら、先生の反応はあまりよくなかったことでしょう。
よい作文=優等生風の作文ではないと、私は思っています。
つたない文章でも、その子の思いが伝わってくれば上出来。
文末の、「やだです」の一言にも、なんともいえない可愛さを感じずにはいられませんでした。
受け取る側の問題
作文に道徳的指導を加えるのは、もうそろそろやめたらいいのに……。
自分の思いや考えを書いていくことが大切なのに、冒頭の飯間さんのツイートのように、空気を読んだ優等生的な作文を書かねばならないプレッシャーがあるなんて……おかしいです。
飯間さんはこのツイートに続き、
優等生になりきって優等生風の作文を書くっていうのもアリなんじゃない?
という持論を展開していますが。
作文への苦手意識をなくす方法として、そういう手を使うことも、もちろんいいでしょう。
でも、私は、受け取る側の問題だと感じるんですよね。
つまらない、そう書いてもお咎めのない作文の学習が、やっぱり理想。
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