感想文の書き方

感想文の書き方 課題図書「ぼくとベルさん」で感想文を書いてみよう

ぼくとベルさん画像

みなさん、こんにちは!

学習塾シンクスで作文を教えている菅野恭子です。

 

感想文の書き方についての記事、今回で3回目になります。

第一回は、中学年向けの課題図書「レイナが島にやってきた!」で感想文を書くなら

第二回では、高学年向けの課題図書「こんぴら狗」で感想文を書くなら、をお伝えしました。

 

今回は、高学年(5,6年生)向けの課題図書「ぼくとベルさん」で感想文を書くためのポイントをお話ししようと思います。

前回同様、親御さんがご家庭で教えることを前提にすすめていきます。

感想文の流れ

大きな構成としては、

  1. あらすじの紹介
  2. ネタ1
  3. ネタ2
  4. ネタ3
  5. まとめ

という流れで進めていきます。

ネタとは、

いちばん心に残った場面は~

自分の似た体験

家族など、人から聞いた似た体験

この流れをひとつのまとまり(ネタ1)とします。

心に残った場面がいくつかある場合、その数に応じてネタ3くらいまでの構成を作ることができます。

「ぼくとベルさん」はどんな内容のお話?(あらすじ)

物語の舞台は、1908年のカナダ、デバッグという町。

この町に暮らすエディという10歳の少年と、電話を発明したことで有名なグラハムベルとの交流が描かれています。

エディは、文字を読むのが苦手。文字を読むことだけでなく、どうしても書くことができません。ディスレクシアという学習障害で、文字と音を結びつけるのが困難なのです。そのせいで、自分自身も、家族をはじめ周りの人たちも、エディは勉強ができないバカなやつだと思っています。読み書きができなくても農夫にならなれる、そう父親に言われたエディは、漠然と自分の将来は農夫だと思い始めます。

そんな中、偶然出会ったベルさん。ベルさんは、エディの行動を見てエディがただの少年でないことを見抜きます。ヘレンケラーと引き合わせてくれたり、のちにエディの持つ才能が開花するような貴重なアドバイスを与えれくれます。ベルさんとの会話は、エディにとってわくわくするような学ぶ世界の扉を開くきっかけになりました。

相変わらず読み書きは苦手でしたが、そのかわり、数学のセンスを発揮するようになったエディ。ある日、お父さんが困っていた難題を簡単に片づけます。それを機に、エディの父親もエディの特別な才能を認めはじめ、よき理解者になります。もう、将来農夫になるしかないなどとは言いません。ベルさんは、変わらずエディを友として励まし、あきらめないことやできたことを喜ぶということを教え続けます。すっかり自信を取り戻したエディ。物語は、エディがヘレンケラーに手紙をしたためる場面で終わります。

「ぼくとベルさん」の登場人物

物語の舞台は1908年でした。200年も前になります。日本でいうと明治41年、明治時代の終わりに当たります。

主な登場人物はつぎのとおりです。

エディ

読み書きができないディスレクシアという学習障害がある少年。読み書きは苦手だが素晴らしい数学的なセンスを持っている。家族をはじめ周囲の自分への発言や表情、視線などから、自分はダメだ、バカだという気持ちを持っている。

ベル

電話を発明したことで有名なグラハムベル。ふとしたことでエディの才能に気付き、友として、いろいろと手助けしたり導いたりする。

ベルさんとの出会いが、エディが自分の才能に気付くきっかけになる。

ヘレンケラー

ベルのお母さん、奥さんは耳が不自由だった。そのため、聴覚障害への興味から音響学へ入っていき、それが電話の発明にもつながったようです。ヘレンケラーにサリバン先生を引き合わせたのもベルさんなのだそうです。そんな縁で、ベルさんはエディにヘレンケラーを紹介します。エディは、ヘレンから「かしこさの正体」とは何かを得ることになります。

「ぼくとベルさん」はこんな子におすすめ

学習障害の少年が主人公ですが、学習障害に限らず、勉強が苦手で苦い思いをしている子は多いと思います。

また、そのことで、心に傷を負っていたり、学校の授業が苦痛だったり、親御さんからのプレッシャーがのしかかってきたりと、エディのように自分を卑下してしまうタイプの子もいるでしょう。

そんな子にこそ読んでほしい一冊です。

うちの子、なんだか自信がなさそうなのよね。。。そう感じる親御さんは、この一冊を勧めてみてはいかがでしょうか。

また、あきらめないことや、コツコツ継続することの大切さ。

自分の才能を信じることや、まわりの言うことは絶対ではないこと、なにがきっかけで人生が変わるかわからないこと、そんなことを感じてもらえる一冊でもあります。

夢がまだ見つからない子や、なにかとあきらめ癖のある子にもオススメです。

また、親の世代にとっても、心に響く一冊です。私は何度も泣いてしまいました。(日頃から涙腺弱めではありますが)

 

「ぼくとベルさん」のテーマは?

読む人によってさまざまな解釈ができると思いますが、一般的に考えられるテーマとしては、

  • 自分の才能の使い方
  • まわりのいうことはすべて正しいとは限らない
  • ほんとうの賢さとは
  • あきらめずコツコツ続けることの大切さ
  • 先入観を持たないことの大切さ
  • できたことを喜ぶ姿勢

このようなものが考えられるでしょうか。

ぼくとベルさん画像

まずは心に残った場面を考えてみよう

親子で「ぼくとベルさん」を読んでみてください。

大人の方でしたら、1時間程度あれば読めるボリュームです。

心に残った場面をメモしたり、付箋を貼ったりしながら読むことをお勧めします。

付箋を二種類用意して、親と子で、それぞれ違う付箋をはってみるのもおもしろいですよ。

同じところに貼ってあれば「わかるわかる~」となりますし、全く思ってもみなかったところに貼ってあれば、お互い、こんなことを思っていたのだなあと、それぞれの思いを感じ取るきっかけにもなります。

これらの心に残った場面を、

この本を読んでいちばん心に残った場面は~~~です。

というように用います。前述したように、いちばん~は、自分の似た体験、家族など人から聞いた体験とセットにしてひとまとまりにします。

いちばん心に残った場面は~

自分の似た体験

家族など、人から聞いた似た体験

ひとつにしぼるのは難しいと思いますので、付箋を貼った部分を順次あげていくのがよいでしょう。

その中から多くても3つくらいに絞っていきましょう。

絞るときのコツは、【似た体験・家族など周囲の人から聞いた話】とセットにできるかどうかを考えてみることです。

ですから、いちばん心に残った場面を厳選する際に、自分の似た経験と家族から聞いた話を考えながら進めてください。

家族から聞いた話は、お子さんの似た経験を聞いたうえで親御さんがご自分の経験を話してあげてもよいですし、あらかじめ親子それぞれが似た経験を持ち寄ってみてもよいでしょう。

自分の似た経験がなかなか見つからないお子さんの場合、親御さんがご自分の似た経験を先に話してあげることで

「ああ、こういうを書けばいいんだ!」

と、イメージがわくことも多いです。

 

ちなみに、私の個人的な心に残った場面はつぎのようなところです。

心に残った場面に続き、似た経験・聞いた話を付け加えていますので、参考にしてみてください。(赤字が似た経験、青字が聞いた話になります)

  • エディとベルさんが湖で出会ったところ。みんなのいうことは正しいわけではない。人がなにかをできるようになるときは、本気でできるようになりたいと願ったときだ。ベルさんがそうエディに諭した場面 → 私にも、ベルさんと同じ気持ちになることがある。クラスのリーダー的な人が言う意見には、なんとなく従わないといけない雰囲気があるけれど、いつもそれが正しいとも思わない。 → お母さんは、PTAの仕事のときにいつも同じことを思うそうだ。毎年やっているから、これが決まりだから、そういって無駄なことばかりしていると感じるけれど、みんなそれが正しいと思っているので言えないらしい。
  • いつもはつまらない朗読の時間、古代ギリシャの話がおもしろくておもしろくて、エディが応用数学にのめりこむきっかけとなった場面 → 私も同じような経験がある。母が仕事で遅くなったとき、代わりにお料理をしたら楽しくてたまらなくて、それからいろいろなものを作るようになった。今ではレシピ本を読むのが趣味だ。 → 叔父は、自分には縁がないと思っていたプログラミングの勉強を、友人に勧められて始めたそうだ。いまでは見事にはまってしまい、プログラミングが仕事になってしまったそうだ。
  • エディがベルさんに、自然が間違うことはあるのか?(読み書きのできない)自分は自然が間違って作ってしまったのではないか?と尋ねる場面 → 自分にも同じ経験があるからエディの気持ちがよくわかる。何をやってもうまくいかないとき、何をやってもダメな自分、そんなことを経験すると、自分を欠陥品のように思うし、なんで生まれてきたんだろうと泣きたくなる。 → 母の友人に、いつも自信満々で、何をやっても完璧な女性がいるそうだ。でも、その女性も、自信をなくして落ち込むことがあるらしい。だから、欠陥品だなんて考えたらいけないと母は言う。
  • ベルさんの人生は失敗続きで、電話の発明は成功したほんの一例にすぎない、苦労をしなかった日など一度もない、ベルさんがそうエディに話した場面 → 私は、毎日やろうと思うことの半分もできていないと思う。ベルさんは、やりたいとをいっぱいメモして、そのほとんどが失敗続きだというけれど、まだ行動に移していない自分に比べたら、なんてすごいことなんだろうと思う。 → お父さんの会社でも、次々といろいろな企画が出るそうだ。でも、その中で成功するのはほんとうにわずか、ベルさんのアイデアと同じらしい。
  • エディがヘレンケラーから、ほんとうの賢さの正体について、一瞬で感じ取った場面 → 私も同じようなことを思ったことがある。どうしても知りたい、どうしてもやってみたい、そういう気持ちの強い人ほど成功するのだと思う。 → お母さんも同じようなことを考えていたらしい。仕事でも、成果をあげることができる人は、心からこの仕事を成功させたい!と願っている人だと思う、そう言っていた。

ほんとうに人それぞれ、違う部分が心に残るものなので、単なる一例としてご覧ください。

心に残った場面を何か所かあげ、その場面と似た体験、聞いた話をセットで考えてみましょう。

最後にまとめの部分

いよいよまとめです。

心に残った部分を挙げていくと、なにか共通点のようなものが浮かんできます。

この共通点をうまくまとめていきましょう。

いちばん心に残った部分、似た経験、聞いた話、それぞれ共通したテーマをみつけまとめることができるとよいでしょう。

お子さんだけでは難しいと思いますので、親御さんがうまく汲み取ってあげると、うまくまとめることができると思います。

 

参考例その1

この本は、10歳の少年エディと電話を発明したグラハムベルさんの交流の物語です。どうしても読み書きが苦手なエディは、家でも学校でも勉強ができない子だと思われていて、自分でも父親のいうまま、大きくなったら農夫にしかなれないと思っています。ところが、ある日、偶然にベルさんと出会い、きらりと光る才能を見出されます。ベルさんとの出会いをきっかけに、エディは自分の才能の生かし方を手探りで考え始めます。あきらめないこと、できたことを喜ぶこと、そんなエディの教えを実行していくうちに、父親はじめ周囲も、エディの才能を認めはじめ、エディ自身も自信を持つようになるのです。

私がいちばん心に残った部分は、エディがベルさんに、「自分は自然が間違って作ってしまったのではないか?」と尋ねるところです。読み書きができない自分、左手じゃないと上手に文字が書けない自分、みんなにダメだと言われる自分を、エディは、まるで欠陥品のように思っていたのです。私もよく同じような気持ちになります。だから、エディの気持ちがとてもよくわかりました。私もよく、自分はなんてダメなんだろうと落ち込むことがあります。ベルさんもエディも、とても発想が豊かで、頭の中はアイデアでいっぱいです。でも、私は、全くアイデアが思いつきません。なんてつまらない人間なんだろうと、自分が嫌になります。周りのみんながとても賢く思えて、何がいけないんだろう、何が違うんだろうと悲しくなるのです。そんなときは、トランプで最初に配られた札が最悪なときみたいに、悪いものばかり持って生まれてきたような気分になります。この感想文を書くのに、初めてその気持ちを母に打ち明けてみました。すると母は、そんなことを思っていたなんで知らなかったと泣きました。そして私のいいところをたくさん教えてくれました。そこには、私が欠点んだと思っていたこともたくさん含まれていました。見方によっては欠点も長所になるのかと驚きました。「みんながいっていること」を基準に考えると、欠点になってしまうことも、反対の見方をすると長所になるのです。学校では、真面目すぎるとみんなにバカにされて笑われます。でも、毎日真面目に決まったことを続けることは、実はすばらしいことなのだそうです。それから、母は、「ベルさんが言うように、できたことを喜ぶ方式で考えたら、できることいっぱいあるじゃない」とにっこりしました。

エディは、ベルさんと出会ったことで、自分の才能に気付き、その才能を伸ばそうと努力しました。私は、まだ、自分の才能がなにか、見つけることができていません。エディのように数学の才能はなさそうです。でも、絶対になにかある、だから私は生まれてきたのだと信じています。いつかその芽がでるようにあきらめず、ひとつひとつできたこをと喜びながら、その日を待ちたいと思います。

 

参考例その2

この本は、10歳の少年エディと電話を発明したグラハムベルさんの交流の物語です。どうしても読み書きが苦手なエディは、家でも学校でも勉強ができない子だと思われていて、自分でも父親のいうまま、大きくなったら農夫にしかなれないと思っています。ところが、ある日、偶然にベルさんと出会い、きらりと光る才能を見出されます。ベルさんとの出会いをきっかけに、エディは自分の才能の生かし方を手探りで考え始めます。あきらめないこと、できたことを喜ぶこと、そんなエディの教えを実行していくうちに、父親はじめ周囲も、エディの才能を認めはじめ、エディ自身も自信を持つようになるのです。

私がいちばん心に残った部分は、エディがベルさんに、「自分は自然が間違って作ってしまったのではないか?」と尋ねるところです。読み書きができない自分、左手じゃないと上手に文字が書けない自分、みんなにダメだと言われる自分を、エディは、まるで欠陥品のように思っていたのです。私もよく同じような気持ちになります。だから、エディの気持ちがとてもよくわかりました。私もよく、自分はなんてダメなんだろうと落ち込むことがあります。周りのみんながとても賢く思えて、何がいけないんだろう、何が違うんだろうと悲しくなるのです。でも、エディのディスレクシアに比べたら、努力が足りないのだと思います。

母が教えてくれた話ですが、トムクルーズも、ディスレクシアなのだそうです。母はトムクルーズの大ファンで、私もよく映画に付き合わされます。あのトムクルーズがディスレクシア?私はとても驚きました。ディスレクシアを克服するまでは、台本を覚えるのも、人に読んでもらってそれを暗記したりしていたそうです。あんなに有名な俳優になる裏側にそんな努力があったなんて知りませんでした。ベルさんが言うように、「人が何かをできるようになるのは、できるようになりたいと思う心があるからだ」はほんとうだと思いました。絶対になってやるという気持ちが、欠けている部分を埋めてくれるような気がしました。母は、そういう頑張りも、きっと人間的な魅力になっているのよね、と言いました。

もしエディがベルさんと出会わなかったら、自分の才能に気付くこともなく農夫になっていたでしょうか? 私はそうは思いません。古代ギリシャに魅かれて仕方なかったように、毎日の中に自分の才能を見つけるきっかけは転がっているのだと思うからです。それも、きっと、「絶対に才能を見つけるぞ!」と思って生活していたら、見つかるのだと思います。「人が何かをできるようになるのは、できるようになりたいと思う心があるからだ」とベルさんが言うように。一日も早く私の才能を見つけたいなあ。この本を読んだいま、そんな気持ちでわくわくしています。

ひとつのネタで字数がふえない場合は?

心に残った場面・似た経験・聞いた話のワンセットでは字数が増えない場合があるかと思います。

その場合は、もうひとつ心に残った場面=ネタ2を用意しましょう。

その場合の書き方は、

あらすじ

この本を読んで心に残った場面がふたつあります。

ひとつめは~~~~(ネタ1をセットで展開)

ふたつめは~~~~(ネタ2をセットで展開)

まとめ

のようにします。

詳しく聞きたい方は感想文の書き方座談会へどうぞ!

実際に詳しい書き方を聞いてみたいという方は、ぜひ、感想文の書き方座談会にご参加ください!

8/1 8/2 8/22 8/23 いずれも10:00~12:00

シンクス東品川教室にて開催します。

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ABOUT ME
菅野恭子
筑波大学第二学群日本語・日本文化学類卒。 作文指導に定評のある言葉の森にて指導に携わる。 現在、言葉の森の教材・指導法にてシンクス東品川教室・シンクス上永谷教室・シンクス阪東橋教室で作文教室開講中。 2000年2001年2002年生まれの三兄弟の母。