みなさん、こんにちは!
学習塾シンクスで作文を教えている菅野恭子です。
夏休みの読書感想文。
何書いたらいいんだろう?
毎年あらすじ書くだけで精一杯。
夏休みは、読書感想文の宿題が悩みの種だという方も多いかと思います。
そこで、今年の課題図書を例に、読書感想文を書くときのポイントをお伝えしていこうと思います。
そのまえに、感想文のおおまかな流れを抑えておきましょう。
- 中心を決める(このお話を読んでいちばん~は~です)
- 似た体験を書く(いちばん~の部分と似た体験)
- 聞いた話を書く(家族や友人、または伝記など本で読んだこと)
- 全体のまとめ(思ったこと、わかったこと、今後の展望)
大きな流れはこのようになります。簡単な要約をくわえたり、適宜文を補って作り上げていきます。
第一弾の今回は、この本。
「レイナが島にやってきた!」
小学校中学年の部(3,4年生)の一冊です。
お母さんが書き方を教えてあげるという前提で説明していきます。
お話の舞台は?
どんな場所がお話の舞台かというと、南の小さな島。
その島の特徴は、
- 沖縄から船で渡っていく
- 人口は一万三千人
- 島をぐるりとまわると50㎞
- サトウキビ畑
私は、南の島らしいゆったりとした時間が流れる雰囲気をイメージしました。
登場人物とその特徴は?
そんな島を舞台にして、どのようなお話が展開するのでしょうか。
登場人物を確認しておきましょう。
4年生 優愛 俊哉 和馬 (4年生の女子は優愛ひとり)
転校生 レイナ(神奈川県の児童養護施設からやってきた)
3年生 みくちゃん・るなちゃん
(ふたりは仲良し、同じ学年に女子がいない優愛は、こんな女友達がほしい)
若葉ちゃん(3年生のはじめに転校してきた。学校を休みがち)
お話のはじまりは?
夏休みが終わり2学期の始業式の日。
4年生の女の子が転校してくる!しかも女の子!
そう知った主人公の優愛は、期待に胸を躍らせます。
それは、どうしてかというと、3年生のみくちゃん・るなちゃんの仲良しコンビのように、仲良しの女子ができるかもしれない!と考えたからです。
ところが。。。
転校生はなかなかやってこないのです。なんと、遅刻!そのうえ、教室には入ってこず、校庭のガジュマルの木に登り歌を歌っているという、驚くような自由人。
それが、転校生のレイナでした。
さてさて、優愛はレイナと仲良しになれるかな?
自由人(に見える)レイナは、島の小学校でどんなふうに過ごすのかな?
こんな気持ちになりながら先を読み進めたくなるお話です。
登場人物を再確認してみよう
さて、どんなお話か少しイメージがわいたでしょうか?
ここで、再度、登場人物について確認しておきましょう。
性格の特徴や、身近な友達に同じような子がいないかなど、物語の世界を抜けて考えてみるとよいですよ。
特に特徴がよく描かれているのはつぎの3人でしょうか。
レイナ
おしゃべり、早口。機関銃のようにまくしたてる。いつのまにか教室からいなくなることも。先生に敬語を使わない。年下の3年生、それから1,2年生の子もなついている。男子も、あたりまえのようにサッカーに加えてる。神奈川県の児童養護施設から、林さんの家に「ケイヤクコドモ」としてやってきた。学校からまっすぐ家に帰り、掃除などの家の仕事をしている。「ケイヤクコドモ」だから?
優愛
お気に入りノートにお気に入りの言葉を書いている。レイナのすることを心配する。先生には敬語をつかうと教えてあげたほうがいいのかな。。。など。まじめで、空気が読めるタイプ。そのせいで、言いたいことが言えないときが多い。友達とは仲良く楽しく過ごしたいし、そのためにはちょっと我慢することも必要だと考えている。レイナと友達になりたいけれど、なかなか距離を縮めることができず、もう友達になることはあきらたほうがよいかもと思ったりする。
若葉ちゃん
3年生になって転校してきた。学校になじめないのか、休みがち。まわりの子にも心を開いていない様子。それなのに、レイナとはすっかり打ち解けて、優愛を不思議がらせる。ここにいていいのかな…と、居場所のなさを感じている。
レイナが「ケイヤクコドモ」の契約を破棄されるかもしれないとなったときに、林さんが勤めるこども園に直談判しにいこうとする意外な一面も。
登場人物について考えてみよう
登場人物について詳しくたどっていくと、自分が好きな登場人物や苦手な登場人物が明確になり、また、似ているクラスメイトの顔などが浮かんでくるのではないでしょうか?
つぎのようなメモをとっておくとよいでしょう。
好きな登場人物:
好きな理由:
似ているなと思う人:
もし自分がこの子だったら:
苦手な登場人物:
苦手な理由:
似ているなと思う人:
もし自分がこの子だったら:
なってみたい登場人物:
なぜなってみたいのか:
もしその子になれたらなにをする?:
このお話では、全く異なるキャラクターの登場人物が登場します。
育ってきた背景、ものの見方や考え方、人との接し方など、どの子も独特なのですが、でも、ある部分では共通する思いも持っていたりします。
私はなにを、どう考えているんだろう?
そこを理解するためのメモになります。
(この本の場合、大きなテーマは友達になると考えられるので、友達や友達との付き合い方についてどう考えているのか、親がうまく導いてあげられるといいですね。)
メモに取るのが面倒だ、そこまで大袈裟にやりたくないという方もいらっしゃると思います。その場合は、口頭で質問しながらでもかまいません。お母さんが質問し、お子様が出してきた答えの中からポイントになりそうな部分をメモしておくという形でも。
文で解説すると長くなりますが、実は、それほど大変なことではありませんので、ご安心ください。
あくまでも、前述した、
私はなにを、どう考えているんだろう?
を把握するためのものです。
いちばん心に残った場面はどこかな?
さて、登場人物について把握できたら、次の作業に移りましょう。
このお話を読んで、いちばん興味を持った場面はどこかを考えます。
いちばん心に残った場面、いちばん驚いた場面、いちばん嬉しかった場面、いちばんハラハラした場面。。。などなど、とにかく心を動かされた場面をあげてみましょう。
いちばん~といったら一つに限定されますが、まずはいくつかの場面をあげてみましょう。
たとえば、
- いちばんいいなあと思ったは、レイナがとても自由なところです
- いちばんよかったと思ったのは、レイナがずっと島にいられることになったところです
- いちばんすごいと思ったのは、優愛がレイナに言いたいことを言ったところです
というように。ひとつひとつの場面を上げていったらきりがない場合もあります。そのときは、お母さんがうまくまとめてあげるとよいでしょう。
たとえば、「レイナがとても自由だというところ」というようにまとめます。
そして、自分にも同じような体験がないかを考えてみます。
同じような体験をしたものを優先的に残していきましょう。似た体験がなければ、その「いちばん~」は省いてしまってもよいでしょう。
たとえば、先にあげたみっつのいちばん~。
同じ経験はないかなあと考えたとき、つぎのようなことが浮かんだとしましょう。
いちばんいいなあと思ったは、レイナがとても自由なところです
→ 自分には似た経験がないけれど、同じクラスの〇〇ちゃんは、レイナにそっくりで、いつも人の目を気にせずに、自分がしたいことをしている。
いちばんよかったと思ったのは、レイナがずっと島にいられることになったところです
→ 前に仲良しの友達が転校するかもしれないと言っていたけれど、結局転校しなくて大丈夫だった。だから、レイナも優愛も若葉も、それぞれの気持ちがとてもよくわかる。
いちばんすごいと思ったのは、優愛がレイナに言いたいことを言ったところです
→ 言いたいことがあっても、いつも、まあいいかと思ってがまんしてしまう。今まで思い切って言いたいことを言えたことがない。
この、「いちばん~は~です」を見つける際に、あまり考えずに選ぶ子がいます。
その場合、似た体験を見つけることがなかなかできません。
「いちばん~」と似た体験は、セットで考えるようにすることをお勧めします。
先に挙げた3つの「いちばん~」ですが、いくつか使いたい場合は、このようにまとめるとよいですね。
私はこの本を読んで心に残った場面が3つあります。
まずひとつめは~~~~
つぎに~~~~
最後に~~~~
という具合です。
冒頭で書き方の流れとして、
- 中心を決める
- 似た体験
- 聞いた話
- まとめ
とお話ししました。
いちばん~を増やす場合は、
私はこの本を読んで心に残った場面が3つあります。
ひとつめは~~~ → 似た経験
次に、~~~ → 似た経験
最後に、~~~ → 聞いた話
のように、少しアレンジするとよいでしょう。
冒頭の説明は基本形ですから、好みの応じてもちろんアレンジ可能です。
親の似た経験を聞かせてあげる
子ども自身も「いちばん~」の部分と同じ経験を探しますが、親も同じような経験を聞かせてあげてください。
我が子と同じくらいの年代のこと、もう少し上の高学年になってから、または中学生や高校生でもよいでしょう。
なるべく年齢が近い思い出のほうが共感を持って聞いてもらえますが、内容によっては大人になってからのことでもOK。
素直に聞いてもらうコツは、飾らずありのままを話すことです。親だし、カッコいいことを言わなくては。。。と思う必要はありません。失敗談くらいのほうが、子どもは喜んで聞いてくれますから。
今回の「レイナが島にやってきた!」の場合だったら、
- 自分が転校したときは、なじめなくて苦労した
- 仲良しの子が転校してしまって、とてもさみしかった
- 苦手な子と大げんかしたら、なぜか仲良くなってしまった
- わかってくれない子とは、別に友達にならなくてもいいと思うレイナのような子だった
具体的にこんな話をしてあげるとよいですね。
親から聞いた話も感想文の中に盛り込んでいきます。自分ひとりの考えでなく、ほかの人の考えが入ることで、内容がぐっと深まります。
まとめ方
最後のまとめの段落では、全体を通して、共通するテーマについてまとめる必要があります。
「いちばん~」の部分と、似た体験・聞いた話の部分を網羅するテーマがベストです。
たとえば、この「レイナが島にやってきた!」のお話だと、友達が大きなテーマのひとつになっています。
友達との関係、友達のよいところの見つけ方、友達と心が通ううれしさ、そのあたりが書きやすいかと思います。
ただ、子どもは子どもなりに思うところがあるでしょうから、強制はしないように。
子どもの口から出た思いを、上手にくみ取ってあげることも大事です。
思うことがあってもうまく表現できないだけかもしれませんから。
「レイナが島にやってきた!」感想文の参考例
この本は、小さな南の島にやってきた転校生レイナと、レイナを迎えた優愛たち島の小学校の子どもたちのお話です。私はこの本を読んで心に残ったところがふたつありました。
まずひとつめは、優愛がいっしょうけんめいレイナと仲良くなろうとして早起きして学校に行った場面です。優愛は仲良くなろうと一生懸命話しかけるのに、レイナは知らんぷりします。優愛は、レイナは友達がほしくないのだろうかと、とても不思議でしかたありません。優愛は、友達とは楽しく過ごしたいし、そのためなら少しくらい我慢することも必要だと思っています。それに比べてレイナは、人の気持ちなんてお構いなしのようです。つんと上を向いてしゃなりしゃなりと歩く様子がまるで猫のようだと書いてありましたが、ほんとうに猫みたいな性格だと思います。私にも似た経験があります。前に、仲良しになりたい子がいました。できるだけその子の好きな話をしたり、興味のありそうな遊びをしたりしました。でも、特別仲良しにはなれなくて、私はとてもさみしく思いました。だから、優愛の気持ちがとてもよくわかります。レイナは、無理して合わせる友達なら、ひとりでいるほうがいいと思っているのかもしれません。
もうひとつ心に残った場面は、海でレイナが優愛に昔の秘密を話したところです。なぜ触られるのかがきらいなのか、優愛に話すのだけれど、いつもはとても強いレイナがちょっと弱いことを言っているので、びっくりしました。でも、それがきっかけで、ふたりの距離が縮まったように思えました。この本を一緒に読んだお母さんは、こんなことを話してくれました。高校生のころ、とっても苦手で、話を合わせるのさえいやだと思っていたクラスメイトがいたそうです。ある日、その子が泣いているのを見て、思わず話しを聞いてあげたそうです。この子にも、大変なことがあるんだなあ、いつもがんばっているんだなあと思ったら、苦手な気持ちがうすれたそうです。「いやだなと思う部分は、その人のほんの一部かもしれない。勝手に判断して嫌いって言ったらいけないと思ったなあ。」と言っていました。
私の友達にもいろいろな子がいます。一緒にいてとても楽しい子もいれば、なんとなく無理して合わせてしまう子もいます。でも、全部が自分と同じ子なんていません。違うけれどわかりあえる、そんな友達がいると幸せだなと思いました。レイナと優愛のように。
こんな子におすすめ
登場人物は女子なので、女の子にはおすすめ。
特に、友人関係で悩みも出てくる中学年には、似た話もいろいろと探しやすいかと思います。
友達作りが苦手な子、自分の意見がなかなか言えずいつも合わせてしまう子、一匹狼タイプでひとりでいるほうが気楽な子、どのタイプにも比較的感想文が書きやすい一冊だと思います。
逆に男の子には共感する部分が少ないかもしれません。
詳しく聞きたい方は感想文の書き方座談会へどうぞ!
こうやって文にすると、なかなかうまくまとめることが難しいですね。
というのも、人によってさまざまな考え方、捉え方、似た経験があるからです。
こちらで音声での説明も聴けます。よかったら聴いてみてください。
https://note.mu/kyokokanno/n/n299b44287015
実際に詳しい書き方を聞いてみたいという方は、ぜひ、感想文の書き方座談会にご参加ください!
8/1 8/2 8/22 8/23 いずれも10:00~12:00
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