みなさん、こんにちは!
作文講師の菅野恭子です。学習塾シンクスで作文クラスを担当しています。
「書けそうなことがあるけど、こんなこと書いたらお母さんに叱られちゃう!」
そう言って、頑なに書くことを拒む子が、稀にいます。
たとえば、「ないしょの話」というテーマの場合。
自分がないしょにしていることをお母さんに知られたくないから書けないという子。
”モノがくさるのは微生物のしわざ”という内容の長文と似た話題を書く際に、
「腐ったものを見たことない?」
とたずねると、
「お母さんが時々腐らせてるけど、そんなこと書いたら叱られる!」
と、書くことをためらう子。
家庭内でのかっこ悪い話題を外で言ってはいけないと思い込んでいるのですね。
子どもにとって、親は絶対的な存在です。
「いつも言うことをきかないんだから、私の話なんてろくに聞いていないと思う!」
そう思った方、きっといらっしゃいますよね。
でも、決してそうではないのです。
親のいないところで、子どもは、親に言われたことを守っているものです。
「〇〇は、体によくないから食べちゃいけないって言われてる」
対話の中でのそんな言葉の端々に、親の意向を汲み取っている様子がうかがえます。
書けることがあるけれど、お母さんに見られたくないから書けない……そう言われてしまうと、私も、無理に勧めることができません。
生徒さんの希望は、尊重してあげたいですから。
でも、内心、とてもよい作文が書けそうなのに残念だなあと思うのです。
指導する私自身、失敗経験も、恥ずかしい経験も、だらしないところも、たっぷり持っています。
みな、誇れるところもあれば、平均に満たず劣っているところもあります。そこが、それぞれその人だからこその魅力になっているのではないでしょうか。
ですから、何が書かれていても、そんなこともあるよねと思えます。
もし、書かれて嫌なことがお子さんの作文に登場していても、大目に見てあげてください。
だれにも否定されず、のびのび書けるという心の余裕が、よい表現に繋がりますから。