書くことがないと言う子
作文用紙を前にして
「書くことない」
と言う子がいます。まだ書き慣れていない子や、書くことが苦手な子に多いです。
お子さんのこのセリフにイライラした経験がある親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
今日は、この場合の対処法をお伝えしますね。
本当に書くことがないのか
みなさん、朝起きてから、さまざまな出来事に出会い、さまざまなことを感じて、今この記事を目にされているはずです。
気持ちを動かされる出来事も、一つや二つあったでしょう。
それは、たとえば、
洗濯物を干すときに、洗濯ばさみが絡まり合ってイライラした。
イライラすることなんて滅多にないのに、洗濯ばさみの絡まりだけはイライラして仕方ない。よりによって忙しいときに、絡まるのはなんでなんだろう?
なんていう体験もあります。(ちなみに今朝の私)
これだって十分作文の題材になりますし、立派なネタなんですよね。
決してないわけではないのです。
反対に、有り余るほどあるのです。
しかし、いざ作文に書こうとすると
「書くことなーい」
となってしまう。
どうして書くことがないのか
子どもたちの中には、作文は、旅行や遠足などの「お出かけ」だったり、運動会や授業参観などの行事だったり、誰もが「思い出」と認識するものを書くものだと考える子がいます。
すると、日常の一コマは、書く対象にはなりません。
だから、「書くことない」となるのです。
これは、作文を書いた経験が少ないことはもちろんですが、親御さんの認識がそのまま子どもへ伝染していることも大きな要因になっています。
作文を書くためにお出かけしたり、実験教室のようなものに行かせたり、わざわざネタを提供してあげる親御さんもいらっしゃいます。
お出かけなど特別な出来事がなかった場合は、書くことがないとなるのです。
余談ですが、少数派ではありますが、甘えたい、構ってほしい気持ちから
「書くことない」
とごねる子もいます。
楽しく書く子の特徴
一方で、お出かけなどがなくても、楽しく書く子もいます。
このタイプの特徴は、日常の一コマを大事にしていることなんです。
- 登校時に出会うお散歩中の犬がとてもかわいいこと
- ガチャガチャで欲しいものが出なくてがっかりしたこと
- 庭の木にやってくる鳥のこと
- お母さんに頼まれてゴミ捨てに行ったこと
これらの出来事は、誰もが経験しているのではないでしょうか。
作文のネタは、このような日常の一コマで十分なんです。
どうしたら「書くことがない」から脱出できる?
脳とはよくできたもので、
「ない」
と言ってしまったら、そこで探すことをやめるそうです。
反対に、
「作文に書くようなこと、あったかな?」
と問いかけると、探すモードに入るそう。
そう考えると、
「書くことがない」
と口にしたら、ネタが見つかるわけがありませんね。
ですから、作文を書く際に
「書くことがない」
と口にすることを禁止しましょう。
「ない」って言ったら脳みそはサボって考えなくなるからね。
だから「書くことない」は言わないルールにするよ
このような文化を作るのが第一。
その上で、日常のちょっとした一コマでも書けることを伝えていきます。
朝ごはんのこと、給食のこと、今日いちばん楽しかった授業のこと、今日いちばんつまらなかった授業のこと
このように身近なところから話を聞いて、
「あ、これはとってもいいネタじゃない?」
とイメージを引き出してあげるのがおすすめ。
「え、こんなことでも作文って書けるの?」
そう認識を変えていけたら良いですね。
また、お子さんの中には、イラストを描くのが得意な子もいます。
絵を描くのだったらスラスラあっという間だよ、という子には、今日のハイライトをイラストにしてもらい、その絵を説明するように作文を書いてもらうのも良いですよ。
焦らず見守る気持ちが大事
いずれにしても、「書くことない」と言う子には、多少なりとも作文に対するアレルギーがあります。
親や先生など周りの人からの評価が、作文嫌いを作っている可能性も大きいのです。
書き上げた作文に
「もっと色々あったでしょう?」
「せっかく遠くまで連れて行ったのに」
と否定的な評価をしないように、くれぐれも注意しましょう。
作文をはじめ、言葉の力は、生まれてからこれまでの蓄積です。
どんな言葉に触れてきたか、どんな環境でどんな言葉を使ってきたか、365日✖️年齢分の積み重ねなんです。
だから、できるだけの手助けをし、焦らず見守ることが大事です。