こんにちは!
作文講師の菅野恭子です。学習塾シンクス(東品川・上永谷)の作文クラスを担当しています。
今学期(10月~12月)の小4の感想文は、テーマがお米でした。
なぜ日本人にとってお米が特別な食べ物なのか、日本人とお米の関係について、歴史や日本という地形など様々な視点からのアプローチをしている長文を読み、感想文に取り組みます。
お米から人間の姿を覗く
12月の課題では、つぎのような内容の長文を読みます。
お米がたくさんとれて、お米を蓄えることができるようになると、王や貴族といったみなの上に立つ人物が生まれた。お米作りには欠かせない水をめぐっての争いも生まれ、力のある者が大きな村を作り、大きな村は小さな村を飲み込んでますます大きくなった。
富が生まれるにつれ、階級や、貧富の差といったものが生まれてきたこと。
争いにより、さらに権力を拡大することが繰り返されてきたこと。
人間の本質は、大昔から何も変わっていないなあ……
そんな気持ちにもなりますが(笑)
今回、小4の子が、その人間のおろかさをズバリ、端的にまとめてくれました。
人間は、じつに〇〇です。
この〇〇にあてはまる言葉、なんだと思いますか?
名言です。作文の後半部分を抜粋してみますね。
大きな村が小さな村をのみこんできた。それは、いじめだと思います。ぼくは思いました。みんな国それぞれ分け合えばよいです。ぼくはもうひとつ思いました。
人間は、じつにバカです。
結びの一文!
人間は、じつにバカです。
ズバリ、核心をついているなあと感心しました。
また、この読点の位置が絶秒ですよね。
探求する種を蒔く
普段、当たり前のように食べているお米ですが、その歴史を紐解いてみると、日本文化そのものを深く探求する扉につながります。
子どもがすべてを理解することはもちろん難しいのですが、それでも、ほんの少しでもなにかを感じることができたら、それは素晴らしい学びになります。また、その「なにか」が、後々人生を左右するような「好き」につながるかもしれません。
「人間は、じつにバカです。」から、人間の心理について興味を持つかもしれません。あるいは哲学かもしれないし、歴史に興味を持つかもしれません。
ふと抱いた小さな疑問。感想文の時間は、疑問の種を蒔く作業のように思います。この疑問を刈り取るか刈り取らないかは別として、その子の心に、実る可能性のある作物が1種類増えた、そんなイメージです。
作文はアカデミックな教養をつける勉強
作文クラスの大きな目的は、文章が書けるようになることにあります。
それ以上に、アカデミックな視点で物事を考える素地が作れる点も、全力で作文をオススメする理由です。
以前、落合陽一さんの著書『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書』に書かれたいたロジカルシンキングとアカデミックライディングの話題に共通するものがあります。ご参考までに。