みなさん、こんにちは。
学習塾シンクスで作文を教えている菅野恭子です。
今日はシンクス東品川教室にて作文教室の日。
今日来てくれた子は、みな、感想文に取り組みました。
その中でも、小3の課題について、解説したいと思います。
インドってどんな国なの?
小3の今日の感想文は、「牛のお通りで電車がとまる」という長文を読んで取り組みます。
この長文は、800字程度。
要約すると、つぎのような内容になります。
インドでは、牛は神様の化身であるという理由で、人間に敬われ大事にされている。
たとえば、街中をのっそり歩いていても誰も文句を言わず、牛が通り過ぎるのを待つことも日常茶飯事。
ほとんどの人がヒンズー教の教えを信じているインドでは、牛は、特別な動物である。
ん?
なんだか日本とは全然違うよね?
インドってどんな国なの?
こう感じてくれたらしめたもの。
外国に興味のある子もいれば、興味のない子もいます。
小3というまだまだあどけなさが残る子どもたちですから、大人が想像するような答えが返ってこないことも多々ありますが、
「なんだかおもしろいな」
そう感じただけでも、異文化に触れるきっかけになるのではないでしょうか。
どうやって書いていく?
では、この課題を読んだ感想を、どのように感想文という形にしていくのか。
まずは、当たり前ですが、よく読むこと。
よく読むというのは、何が書かれているのか、そして、自分の心が動いた部分はどこかを考えながら読むということです。
今回だったら、
- 話題になっているのがインドであること
- インドでは牛が街中を自由に歩き回っていること
- 線路に牛が寝そべっているため、電車がとまることもよくある
- インドの人には牛が街中を歩くことが当たり前の光景であること
- インドではほとんどの人がヒンズー教を信じていて、牛は特別な動物であること
などを把握しながら読んでもらえると完璧です。
そして、その中でも、自分がいちばん心を動かされた部分はどこか、ポイントをしぼっておきます。
たとえば、
- いちばんびっくりしたのは~
- いちばんすごいと思ったのは~
- いちばんかっこいいと思ったのは~
- いちばん変だなと思ったのは~
なぜそこを選んだのかもあわせて言えるようにしておくとさらによいです。
似た話をみつけよう
次にやることは、似た話をみつけることです。
この長文を読んで、自分にも似た話があるなあと、話題を自分に引きつけて考えてみましょう。
まだ人生経験も少ない小3ですが、逆に小3だからこその似た話も見つかるわけです。
- 乗っていた電車がとまってしまったことがある
- 奈良にいったとき、公園にシカがたくさんいた
- 弟がはいはいするのを、家族みんながじっと待ってる
このような話題でも十分に似た話になります。
家族にインタビューしてみよう
さきほどの似た話のところで、小3では、まだまだ人生経験が少ないと述べました。
その少なさを補うのが、家族から教えてもらった話になります。
感想文課題は特に、親子で協力して取り組んでいただきたいのです。
大人、それも家族という身近な存在の人の話を、子どもは興味深く聞きます。
この長文を読んで、お母さんはどう思う?
お母さんだったら、いちばん~はどこを選ぶ?
など、お母さんやお父さんにインタビューしておいてねと声をかけますが、なかなか徹底できないことも多く、この点は今後の指導の課題でもあります。
- インドのようにヒンズー教を信じている国では牛肉も食べないから、マックも豚肉のハンバーガーを売っているんだよ
- 日本でも、きつねや犬、へびなど、動物を祀っている神社があるよ
- 競馬の馬がトレーニングする施設では、インドみたいに馬が優先されてるよ
このような話題が出れば理想的かと思います。
想像力も大切
長文を読むときに大切なのが、想像しながら読むということ。
これは、感想文に取り組むときに限らず、ふつうに物語を読むときや論説文を読むときなども、
「もし~だったら」
を想像しながら読むことはとても大切です。
もし~だったら、こうなるだろうか?
と仮説を立ててみたり、
もし自分が主人公だったら、こんな行動取れるだろうか?
と自分の姿を重ねてみたり。
感想文課題のときは、
「もし~だったら」
という想像した話を考えてもらいます。
今回の長文だったら、
「もし日本の街中を牛が歩いていたら、大騒ぎになると思います」
このようなひとことでOK。
最後は、長文全体のまとめ
どんなことを思ったのか、全体の感想を考えます。
理想としては、似た話や聞いた話に共通する点から導き出せる感想がよいのですが、そこまで求めるのは難しいです。
ですから、ひとことで構いません。
練習を重ねることで理解できてくるものですから。
「いろんな国があるなと思った」
これでOK。
書いてみよう
- いちばん~は~です
- 似た話
- 聞いた話
- もし~だったら
- 思ったこと
これらを考えたら準備完了。
感想文を書いていきましょう。
書き方の流れはつぎのとおりです。
- この長文を読んで、いちばん~は~です。
- 私にも似た話があります。それは・・・・・(ここで似た話について書く)
- お母さんに聞いてみました。・・・・・だそうです。
- この長文を読んで、・・・・と思いました。
第一段落では、いちばん心を動かされた部分を明示します。
ここに理由を添えるのもよいですね。
この長文を読んでいちばんびっくりしたのは、インドでは町の中を牛が歩き回っているというところです。なぜなら、日本にはそんな町はどこにもないからです。
つぎの第二段落で、似た話を書いていきます。
私にもにた話があります。前にシカがたくさん歩いている公園に行ったことがあります。追いかけられてこわくて泣いた思い出があります。
第三段落では、聞いた話を展開します。
お母さんに聞いてみました。インドでは、牛肉も食べないそうです。私の大好きなマックは、インドでは豚肉100%のハンバーガーを売っているそうです。もしインド人が日本に来たら、なにも知らずにマックで牛肉を食べてしまうかもしれないと心配になりました。
第四段落で全体のまとめを書きます。
この長文を読んで、私は、インドは不思議な国だなと思いました。
いかがでしょうか?
このように段落ごとに書く内容をまとめ、全体をつなぐイメージです。
これなら気軽に書けそうな気がしませんか?
慣れてくるとこの手順をこなしていくのに、それほど時間はかかりません。
小3の現段階では、書き上げた感想文は、言葉足らずの拙いものに見えるかもしれません。
でも、それでよいのです。
感想文は、書く訓練であるとともに、思考の訓練でもあります。
取り組む機会がなければ、このような異文化について考える機会など、なかなか得ることができません。
学年があがるにつれて、内容もぐんとよくなります。
自分の中で、経験も知識も、考える力も増してくるからです。
小3、小4あたりでは、高学年に向けての準備期間と捉えるのがよいと思います。
彼は、4月に続き2回目の感想文。
頑張りました!