感想文の書き方

感想文の書き方【かべのむこうになにがある?/高学年向け課題図書】

みなさん、こんにちは。

作文講師の菅野恭子です。学習塾シンクスで作文クラスを担当しています。

先日は、中学年向けの課題図書「かみさまにあいたい」を読んでの感想文の書き方を解説しました。

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今回は、高学年向けの課題図書「かべのむこうになにがある?」を読んでの感想文の書き方を解説します。

高学年向けともなると、ページ数の多い分厚い本になるのでは? そう思われる方も多いでしょう。確かに昨年度の課題図書は、高学年らしくページ数の多いものばかりでした。

しかし、この「かべのむこうになにがある?」は絵本です。漢字はおろかカタカナさえ使われていません。ひらがなだけで書かれた絵本です。

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絵本だから簡単という理由で選ぶと、どう書いていったらよいのか困ってしまう子もいるかもしれません。

かべのむこうになにがある?はこんな子におすすめ

ひらがなだけの絵本というところで、文章を読むのが苦手な子、普段から読書を避けている子でも読んでみようという気持ちになるでしょう。

また、絵本ですが、とても深い内容の一冊です。感受性の鋭い子、繊細な子、また、自分を中心としたごく狭い世界を超えて社会について関心を持ち始めた子にも最適でしょう。

また、スポーツや習い事、勉強など、現在の自分の限界を超えてさらに伸びていきたいと努力している子(でも思うようにならない)なども共感できるかもしれません。

かべのむこうになにがある? はこんな本

まず、表紙をめくるとそでの部分にこんな言葉が並んでいます。

おおきなあかいかべがありました。いつからなのかどうしてなのかだれもしりませんでした。ちいさいねずみはおもいました。

「かべのむこうになにがあるんだろう?」

かべのむこうになにがある?

そしてねずみは、いろいろな人に聞いて回るのです。かべのむこうになにがある?と。

でも、だれひとり納得いく答えを返してくれません。みな、それが当たり前だとか、守ってくれるためにあるとか、そんなこと気にするなとか。

そんなある日、美しい鳥がやってきました。壁の外から来た鳥です。ねずみは、鳥の背中に乗せてもらい、ついにかべのむこうを見に行くことができました。

そこはたくさんのいろであふれるゆめのようなせかいでした。ねずみはつぶやきました。「かべのそとはくらくてこわいせかいだとおもってた。だって、みんながそういっていたもの」

かべのむこうになにがある?

ほんとうのものをみるゆうきがあればかべはきえる。ぜんぶきえたあとにはきっとすばらしいせかいがあるはずだよ。

かべのむこうになにがある?

いかがでしょう? 大人の心にも響くものがあるのではないでしょうか。

どんな流れで書いていくか

ほんとうに短いお話ですが、通常の感想文の書き方どおり4つのまとまりを作っていきましょう。学校では、はじめ・なか・おわりという3つのまとまりで書くよう指導されているかもしれません。その場合は、なかの部分を二つに分けて書く意識で書くとよいでしょう。

感想文の書き方

4つのまとまりは、つぎのようにしましょう。

  1. 本を読んでいちばん印象に残った部分をとりあげる
  2. 印象に残った部分と似た体験を書く
  3. もうひとつの似た体験または家族や友人に聞いた話を書く
  4. 全体のまとめ

では、それぞれ詳しく説明していきます。

★私の解説はひとつの例であって、正解ではありません。おおまかな流れはこのように4つのまとまりに分けて書くとよいですが、内容に関しては真似する必要はありません。

1.「かべのむこうになにがある?」のいちばん印象に残った部分をあげてみよう

とても短いお話だと言いましたが、その内容はとても深く、どこに注目するかによって全く違う感想文が書きあがります。まずは、どこが気になったかをあげてみましょう。

  • いちばん不思議だと思ったのは、ねずみ以外、かべのむこうになにがあるかどうでもよいと考えていること
  • いちばん共感できたのは、ねずみが考えることをあきらめなかったこと
  • いちばん感動したのは、かべの外がとても美しい世界であったこと
  • いちばん考えさせられたのは、ほんとうのものを見る勇気があれば壁は消えるというところ
  • いちばん心に残った一文は、〇〇〇〇という鳥が言った言葉だ

こんなふうに、印象に残ったことを取り上げてみましょう。短いお話ですから、いちばん~を書いたあとで、簡単にお話を説明してもよいですね。

2.いちばん〇〇と同じような体験をしたことを書く

では、第二段落に進みます。さきほどいちばん印象に残った部分をあげてもらいましたが、その内容と似たような体験をしたことを書いてみます。

たとえば、ねずみ以外だれも、かべの向こうにある世界を疑問に思わなかったところをあげたとします。

似た体験としては、自分はとても気になることを、クラスメートは全く気にしていないのはどうしてだろうと思った体験などがあるのではないでしょうか?

子どもはよく「なんで〇〇なの?」と大人を質問攻めにすることがありますが、そのような体験もよいでしょう。

また、壁の外には美しい世界が広がっていたことに感動した子だとしたら、

大人になったら世界を舞台に活躍してみたいという夢を書いてもよいでしょうし、今の自分が置かれているクラスや学校という狭い世界だけが生きる舞台ではないと思った体験を書くのもよいでしょう。

勇気を持てば壁は消えるというところだったら、自信がない子が思い切って発言した(それも発言するのもはばかられる相手に)などの体験でもよいでしょう。

印象に残ったということは、自分の中にも同様の体験や思いがあったからこそ。

「似た体験なんてしたことないよ~。何にも思い浮かばない!」

とはじめからあきらめてしまう子もいますが、記憶を丁寧にさかのぼると、みな、何かしらの体験をしています。ぼーっと生きてても、日々、体験の積み重ねで今まで来ているのですから、焦らずじっくり自分の体験を探ってみてくださいね。

3.もうひとつの似た体験または聞いた話を書く

自分の体験をひとつ書くことができたら、つぎは、もうひとつの似た体験を書きます。

ふたつは難しいという場合、両親や兄弟に聞いてみるのもよいです。友達との会話の中にヒントがあるかもしれません。

ここで書く話題も、なるべく最初に書いた「いちばん~」から逸れない内容にするのがポイントです。

いずれも難しい場合は、「もし~だったら」というように想像した話を入れる手もあります。たとえば、

もし私がねずみだったら、鳥の背中に乗ってかべの外に行く勇気がなかったかもしれない。

というような想像でOK。

4.最後は全体のまとめ

最後は全体のまとめです。ここにたどり着くまでに、いちばん印象に残った部分と、それに似た話題を書いてきました。

それぞれの話題は違っても、共通する思いや考えが入っていると思いますので、探りながら感想をまとめてみましょう。

高学年なので、個人的な感想を越えて大きな視点で感想をまとめることができるとよいですね。

かべのむこうになにがある?の感想文 書き方の例

かべのむこうになにがある? は絵本だ。あっという間に読めてしまう短いお話だ。その短いお話の中で、わたしがいちばん心に残った一文は、ねずみがかべの向こうの世界に行ったときに鳥が言ったひとこと「かべ?そんなものははじめからなかったのさ」だ。だれもその外へ出ようとしなかったかべ。そのかべの外にねずみが出たら、なんと、かべそのものはすうっと消えてしまったのだ。かべはどこに消えたのかと驚くねずみに鳥はこう言った。壁なんてなかったのだと。

私はあることを思い出した。去年、私はクラスメートとの関係がうまくいかずに悩んでいた。小さい頃はみんな仲良く遊んでいたのに、高学年になり、話が合わなくなる子も出てきた。出てきたというよりも、ほとんどの子と話が合わなかったと言っていい。みんなが私のことを変わっていると思っている気がして、私の方も心を開くことができなくなっていた。ある日、思い切って姉に相談してみた。仲良しの子がいなくて学校が嫌だ。みんな私のことを変だと思ってるんだと。そのとき姉は、
「それは思い込み。壁を作ってるのは自分だよ。どうせ思い込むなら自分のことを変なやつじゃなくて個性的って思いこんでみたら」
と言った。それを聞いて私は、ひとり浮いている自分を作っていたのは私だったのだと、急にパズルが解けたような気持ちになった。

大学生の姉は、中学生のころまであまり成績がよくなかったそうだ。自分はもともと頭が悪いし、どうせこんなもんだろうと思っていたらしい。高校生になった姉は、それが思い込みだと気づき、自分は頭が悪いのではなく単に勉強をしてこなかっただけだと、考え方を変えたそうだ。それからは夢に向かって勉強し、行きたかった大学に入ることができた。姉は、
「自分はどうせこの程度という思い込みの壁を作ってたんだろうね」
と言った。私は人と人との間の思い込みの壁を考えていたけれど、姉の言うように、能力についての思い込みの壁もあるなと思った。

ねずみも、壁があることを当たり前だと思っていたほかの動物たちも、みな、思い込みという壁の中で生きていた。私たちも同じように、思い込みという壁を作っていないか、点検する必要があると思う。私にも、いろいろな壁があると思う。あることに気づいた壁は壊していくことができそうだけど、あることに気づけないと、壊すこともできない。この本を読んで、思い込みという壁があることを知ってよかった。思い込みから自由になったら、ねずみたちのように、色あざやかな世界でみなのびのびと暮らせるように思うのだ。

その2

私がこの絵本「かべのむこうになにがある?」を読んでいちばん心を打たれたのは、勇気を持てばかべは消えるという鳥の言葉だ。だれもがかべがあることは当然だと思っていたのに、ねずみだけ、どうしてかべはあるのだろう、かべのむこうにはなにがあるのだろうと思っていた。心の中で思っていたのではなく、口に出していた。ある日、かべの外からやってきた美しい鳥とともにかべのむこうに出ることになったねずみ。かべの外はおろそしいところだと聞かされていたのに、美しい世界が広がっていた。それだけではない。かべは消えていた。おどろくねずみに鳥の言った言葉が、「ほんとうのものをみるゆうきがあればかべはきえる。」だ。

勇気があるってどういうことだろう? 私は考えてしまった。ねずみは、かべのむこうにはなにがあるんだろう?と疑問に思っていることを投げかけた。ねずみがたずねた生き物たちは、そんなこと聞くなよ、あたりまえのことなんだからという雰囲気だ。なんで学校行かないといけないの? と聞いているようなものかなと思う。だれもが疑わないけれど、おかしいと思うことを指摘することは、勇気があることなのかもしれないと思った。親に叱られたり、先生に叱られたりするのはいやなので、おかしいなと思っても私は大人の言うことを聞いてしまう。勇気がないのかもしれない。

もし、ねずみのように思い切って疑問を投げかける人がいなかったら、かべの向こうに美しい世界があることはわからないままだっただろう。ほんとうは思っているのに、言ってはいけないことがたくさんある。大人の世界はもっとあるようだ。人間の世界にもかべがあるみたいだ。「これが当たり前だよね」「ふつうはこうするよね」「常識でしょ」という言葉で、かべが見えなくなっているように思う。どうして当たり前なんだろう? ふつうってなに? そう考え、疑問を投げかけることのできる人が、勇気のある人と言えるのかもしれない。

いま、私たちが当たり前だと思っていることは、ほんとうは当たり前じゃないのかもしれない。当たり前と思う心にはかべがあって、よりよい世界があることを見えなくさせているのかもしれない。ねずみが美しい世界を見ることができたように、わたしも、今よりもさらに美しい世界が見たいと思う。だから、疑問を持つ勇気を持つことを忘れないようにしたい。

 

 

 

ABOUT ME
菅野恭子
筑波大学第二学群日本語・日本文化学類卒。 作文指導に定評のある言葉の森にて指導に携わる。 現在、言葉の森の教材・指導法にてシンクス東品川教室・シンクス上永谷教室・シンクス阪東橋教室で作文教室開講中。 2000年2001年2002年生まれの三兄弟の母。