感想文の書き方

課題図書2023『ふたりのえびす』感想文の書き方解説

みなさん、こんにちは!

 

今日は、高学年向けの課題図書

『ふたりのえびす』

で、読書感想文の書き方を解説していきますね。

『ふたりのえびす』はどんな内容?

さあ、どんな本でしょう。

内容が気になりますよね。

物語の舞台は青森県八戸市。

主人公は内村太一、5年生。

そして、太一の隣の席の転校生、大路優希。

このふたりを中心に、数人のクラスメイト、関わる大人たち、上級生などが登場します。

また、東日本大震災で亡くなった方が登場するのも、ふたりの成長に欠かせないポイントになっています。

 

物語を自分事と捉えるには、なんといっても中心になるふたり、太一と優希への理解が欠かせません。

 

太一と優希、いったいどんな男の子なのでしょう。

みなさんの頭の中には、ふたりが生き生きと動きまわっていますか?

同じクラスに、似たような友達がいたりしませんか?

 

太一と優希について、おさらいしておきましょう。

内村太一

4年生になる春に転校してきた。

「三歳児がねんどで3分で作りました」というような容貌。

おちゃらけた明るいキャラを演じているが、いつ化けの皮がはがれるか気が気でなく、とてもきゅうくつになってきている。実は、他人が触ったものに触れるのが苦手で、人が素手で作った料理が食べられない。

転校する前の学校では、いてもいなくても変わらない透明人間のような存在だった。

 

大路優希

1か月前に都会から転校してきた。色白でほっそり、小顔で背が高い。「世界に名だたる美術作家が11年の歳月をかけて丹精こめて仕上げました」というような美術品のような容貌。その容貌に大路という苗字があいまって、王子と呼ばれる。しかし、壊滅的にリズム感がない。

こんな正反対と思えるふたりですが、実は、大きな共通点がありました。

 

物語は、八戸市の伝統芸能「えんぶり」というお祭りを軸に進んでいきます。

そのえんぶりで、えびす舞という踊りをふたりで踊ることになった太一と優希。

練習を重ねながら、心の距離を縮めていきます。

優希は、太一がキャラを作って生きていることに気づいていました。どうしてかというと、自分も昔、そうだったから。

ある日、えんぶりの親方に連れていかれた釣り。そこで本音をぶつけあうけんかをしたふたり。

キャラに頼らなくても、本当の自分で接しても気が合うことをふたりは理解するのです。これが本当の友達なのだと。

と同時に、もうひとつ、太一は大きな気づきを得ます。

キャラを作って生きる自分は、一生脇役のままだ。ほんとうの自分で、自分の人生の主役にならないといけない、と。

 

真の友達になった太一と優希は、えんぶり当日、息の合った素晴らしい踊りを披露して、拍手喝采を浴びるのでした。

会話にも注目

この物語では、とても多くの会話が使われています。すべて青森の方言で書かれているので、はじめは読みにくい印象を持つかもしれません。

私も、イメージがわかず、正直読みにくいなと思いました。

そこで、会話文を声に出して読んでみると、これがなかなか楽しいのです。

途中からは、会話の主の顔や声の様子などまで頭の中に再現することができましたよ。

個人的に こんな子におすすめ

個人的には、主人公と同じ高学年の男子にぜひ読んでほしいです。

また、転校した経験のある子、キャラを作っている自覚がある子、ほんとうの友達がほしいと思っている子、なにかに一生懸命取り組んでいる子、反対に一生懸命になることがかっこわるいと思い、気恥ずかしくなってきた子など。

もちろん、女子にもおすすめです。

表情豊かなテンポのよい日本語で書かれているため、とくに、ある程度読む力のある子でしたら、ぐいぐい引き込まれることと思います。

印象に残った場面をいくつかおさえておこう

感想文を書くときに大切なのは、心を動かされた場面はどこかを把握しておくことです。

特に、この本のように、長い物語の場合は読みながら把握しておかないと、書く段階であたふたしてしまいます。

ぜひ、付箋を貼ったり、メモ書きしたりして読み進めてみてください。

そして、心を動かされた場面は、なるべく多く挙げておくことをおすすめします。

その理由は、このあと説明してきますね。

 

みなさんの印象に残る場面はどこでしょうか?

大きく〇〇の場面という形でも良いですし、〇〇の場面で▢▢さんが言った言葉に注目するのもよいですよ。

たとえば、親方の、

「何もやらねで死んじまうよっかずっとい」

という言葉などは、何度か、印象的に使われています。

 

ぜひ、心に響いたとっておきの場面を切り取ってください。

感想文の書き方:おおまかな流れを理解する

 

さあ、ここまで準備ができたら、感想文を書いていきましょう。

まず、感想文の書き方について説明しておきます。

大切なところなので、しっかり頭に入れてくださいね。できれば、ノートなど紙に書いておいてください。

四つのパーツを作っていこう

感想文は、大きく4つのパーツを作っていきます。

(場合によっては5つ。文字数による。)

★まずひとつめのパーツ

この本を読もうと思ったきっかけと、本のあらすじについて。

★ふたつめのパーツ

心に残った場面と、そのことを深める話題(→同じような自分自身の体験、想像した話、人から聞いた話、本で読んだ話など)

★みっつめのパーツ

ふたつめのパーツをもうひとつ作ります。

 

★よっつめのパーツ。

最後は、物語全体についての感想。

それから、この物語を読んでわかったことや理解したこと、発見したことについて。

また、わかったことを生かして、今後どのようにしたいか。(→今後の展望)

まとめますよ。

1 この本を手にとったきっかけと、この本のあらすじ

2 印象にのこったこと その1 と 内容を深める話題

3 印象にのこったこと その2 と 内容を深める話題

4 まとめ 全体の感想と今後の展望

 

では、ひとつひとつ解説していきます。

ひとつめのパーツの作り方

まず、この本を手に取ったきっかけについて、思い出してみてください。

  • 読書はめったにしないけれど、夏休みに一冊読んでみようと思ったから
  • なんとなく表紙にひかれたから
  • 自分と同じ5年生の男子が主人公だったから
  • 母にすすめられたから
  • 帯の言葉が気になったから

など、どんなことでもかまいません。

 

普段、あまり読書をしない子が、もしこの本に感動したなら、このように書き始めるのもよいですよ。

 

 ぼくはふだん、あまり本を読まない。正直、本を読むよりも楽しいことがたくさんあるからだ。だから、この本も自分から読もうと思ったわけではなくて、母にすすめられて読み始めた。ほんとうのことをいうと、仕方なかったからだ。それなのに、いつのまにか、すっかりこの本の世界にひきずりこまれてしまった。

 

どうでしょう?

このように書いたら、マイナスをプラスに転換できますよね。

また、1200字という字数の多さにうんざりしている子も多いですが、これだけで数行分は確保できます(笑)。

 

つぎはあらすじですね。

感想文というと、必死に本を写すこと、そう思っている子も多いのですが、それは書いている手が痛くなるだけですよ。

あらすじは、ざっくりとでOK。

だらだら書くよりも、ずばりこういうお話ですよ! という視点で考えてみてください。

 

この物語の登場人物は太一と優希。ふたりは、えんぶりというお祭りでえびす舞を踊ることになる。踊りの練習を通してふたりは、ほんとうの友達になる。えんぶりでのふたりのえびす舞は大成功だった。

 

これくらいでもOKです。

ふたつめのパーツの作り方

では、つぎに進みましょう。

メモしてもらったことを思い出してくださいね。

 

1 この本を手にとったきっかけと、この本のあらすじ

2 印象にのこったこと その1 と 内容を深める話題

3 印象にのこったこと その2 と 内容を深める話題

4 まとめ 全体の感想と今後の展望

 

この2にあたる部分です。

 

印象に残ったところとそれを深める話題について、考えてみましょう。

 

最初に考えてもらった印象に残った場面。

いくつ書けましたか?

 

印象に残った場面について、

自分も同じような体験をしたよ、とか、

同じような話題について聞いたことがある、とか、

 

内容を深める話題があるか考えてみてください。

 

たくさん思いつくものもあれば、ひとつもないものもあると思います。

 

実際に感想文に使うのは、この、深める話題が多いものから選んでください。

 

参考までに、ひとつ例をあげておきますね。

 

【印象に残ったところ】

 

太一は、転校してくる前の学校では、透明人間のようだった。いてもいなくても変わらないような存在だったのだ。だから、新しい学校ではおちゃらけた明るいキャラを演じることでクラスに居場所を作った。このキャラを演じるというところが印象に残った。

 

【似た体験】

 

ぼくも、キャラを演じていると感じるときがある。家にいるときの自分と、家の外にいるときの自分は、別人だ。一歩家を出ると、学校や塾、サッカークラブと、その場で求められているぼくを演じている。

 

【聞いた話、読んだ話】

 

前に、友達に聞いたことがある。

「大人が期待してることって、なんとなくわかるよな。先回りして、そういう行動するときって、ない?」と。

すると友達は、

「え、なに?大人が期待してることなんて、考えたこともなかった。」

と答えた。みんな、ぼくと同じように、大人が求めるキャラを演じていると思っていたから、その答えにおどろいた。

太一と優希がわかりあえたのは、キャラを演じるという共通点があったからなのだと思った。

 

【想像した話】

 

もしぼくが、大人が求めるキャラを演じていなかったとしたら、多分もっと怒られることが多かったと思う。でも、怒られる回数が多いほど、ほんとうの自分を生きているということなのかもしれないと、ふと思った。

 

下線を引いたところのように、ところどころにこの本に関連する内容を加えていくと、さらに統一感のある内容になってきます。できそうだったらぜひチャレンジしてみてください。

 

印象に残ったところと、その内容を深める話題について、理解できたでしょうか?

 

このパターンを、あとひとつ、またはふたつ、作っていきます。

ふたつ書いた時点で1200字に届きそうにない場合、3つまで考えて、字数を調整してみてください。これが、5つのパーツになるかは場合による理由です。

よっつめのパーツ

さあ、いよいよ最後のまとめです。

ここでは、全体の感想と、今後の展望について書いていきます。

 

はじめにお伝えした書き方の流れを思い出してください。

 

1 この本を手にとったきっかけと、この本のあらすじ

2 印象にのこったこと その1 と 内容を深める話題

3 印象にのこったこと その2 と 内容を深める話題

4 まとめ 全体の感想と今後の展望

 

全体のまとめは、

  • 2と3を通して思ったこと
  • 2と3を通してわかったこと、理解したこと、発見したこと
  • 本から学んだこと

などをもとにまとめていきましょう。

 

そして、今後の展望という点について。

 

これは、学んだことを生かして、今後どうなりたいか、ということです。

 

こんな自分になりたいとか、こんなことに気を付けていきたいとか、こんなことをしてみたいとか。

 

たとえば、

  • キャラを演じるよりも本来の自分で勝負する方が、充実する生き方になると思った→このことを忘れずに、本来の自分で全力で生きる自分でいたい
  • キャラを演じるのも必要なときがあるとわかった→人生は楽しいことばかりではないと思う。必要に応じてキャラを使い分けることのできる人でいたい。
  • ほんとうの友達に出会えるのは幸せだと思った→ほんとうの友達と出会えるよう、こわがらずに自分を出していきたい。

 

などが考えられますね。

どんなまとめになるか、みなさんのうでの見せ所ですよ。

最後に

頭の中で思っていることを言葉という目で見えるものに変えることは、なかなか難しいものです。だから、みな、同じようなありきたりな感想になってしまうのです。

自分の思いを大切に、丁寧に見つめてあげてくださいね。

キャラが適当に言う言葉でなく、きっと自分らしい思いが出てくるはずです。

 

この感想文に取り組んだみんなは、きっとひとつ成長してます。

健闘を祈ってます!

 

ABOUT ME
きょうこ先生
2003年より作文指導に携わる。東京(品川)横浜にて対面指導。 現在はオンラインをメインに、愛媛県松山市にて対面指導を行っている。長く続けてくださる生徒さんが多いのが自慢!(平均5〜6年。最長は13年!) 作文がスラスラ書けるようになった、国語の成績がぐ〜んと上がったという声はもちろんのこと、自分の意見が言えるようになった、コミュニケーション力が上がった、親子の会話が増えたなどの声も多くいただく。