感想文の書き方

【感想文の書き方】2019年高学年向け課題図書『もうひとつの屋久島から』

みなさん、こんにちは。

作文講師の菅野恭子です。学習塾シンクスで作文クラスを担当しています。

今回は、高学年向けの課題図書「もうひとつの屋久島から」を読んでの感想文の書き方を解説します。

「もうひとつの屋久島から」はこんな本

屋久島

屋久島という地名は、聞いたことがある子も多いのではないでしょうか。日本でいちばん初めに自然世界遺産に登録されたのが屋久島です。

表紙をめくったカバーには、こんな文章が綴られています。

1993年、日本で初めて世界遺産に登録された屋久島。この自然豊かな島のいたる所で、その11年前まで広大な原生林が伐採されていた事実があった!屋久島の過去・現在・未来にせまる、渾身のドキュメンタリー

屋久島に魅了されたひとりの新聞記者が、自然世界遺産・屋久島のもうひとつの顔を追いながら、世界遺産の森が伝えたいこととは何かを探る内容です。

「もうひとつの屋久島から」はこんな子におすすめ

元新聞記者という経歴の筆者。事実を淡々と語る文体は内容を把握しやすく、物語よりも説明文が好きな子には最適でしょう。

屋久島の自然や歴史について、自然と自分たちの生活の板挟み、国とのかかわり方等、内容は多岐に及びますが、いずれも社会への疑問を投げかけています。

教科でいえば社会の勉強とリンクする部分が大きいです。社会が好きな子や、日ごろから社会の動きに興味がある子には、おもしろく読めると思います。

どんな流れで書いていくか

通常の感想文の書き方どおり4つのまとまりを作っていきましょう。学校では、はじめ・なか・おわりという3つのまとまりで書くよう指導されているかもしれません。その場合は、なかの部分を二つに分けて書く意識で書くとよいでしょう。

4つのまとまりは、つぎのようにしましょう。

  1. 本の紹介と、本を読んでいちばん印象に残った部分をとりあげる
  2. 印象に残った部分と似た体験を題材にして書く
  3. もうひとつの似た体験または家族や友人に聞いた話や社会での出来事を題材にして書く
  4. 全体のまとめ

では、それぞれ詳しく説明していきます。

★私の解説はひとつの例であって、正解ではありません。おおまかな流れはこのように4つのまとまりに分けて書くとよいですが、内容に関しては真似する必要はありません。

「もうひとつの屋久島」のどんな部分に興味を持ったか

  • 自然保護と生計を立てることを両立させるのは難しい
  • 木々の伐採のしすぎで、災害が多くなっている
  • 情報に流されすぎる(観光地にどっと人が押し寄せる等)
  • おかしいことにはおかしいということが大切
  • 人間のマナーの悪さは大問題
  • 世界遺産ってそもそもなに?
  • なんにでも「もうひとつの顔」があるな

など、この本を読んでいると日本社会の様々な問題点に気づくと思います。

その中でも、自分はどんなところに興味を持ったのかを考えてみましょう。読む際に気になる箇所に付箋を貼っておくと、わかりやすいと思います。付箋が貼られた部分の内容を分析してみると自分にはどのような傾向があるのかがわかりますよ。付箋の貼られた数が多いのはどの話題なのかで、自分の興味の対象が把握できます。

そして、興味を持った部分の中から特に取り上げたい話題を厳選します。

このときのポイントは、自分が特別に関心を持っている話題や、重要度の高いもの、また、自分が同じような体験をしたことがあるものを選ぶことです。

1.本の紹介&いちばん印象に残った部分をあげてみよう

まずは、本の紹介と印象に残った部分を書いていきましょう。

本の紹介には、どうしてこの本を選んだのか、その理由も付け加えてみるとよいでしょう。もしかしたらお母さんに押し付けられたのかもしれませんが(笑)、押し付けたのにはそれなりの理由があると思います。どうしてこの本を自分に読ませようと思ったのか、と探ってみてください。

【例1】

私がこの本を選んだのは、屋久島という名前を聞いたことがあったからだ。世界遺産の島ということしか知らない。「もうひとつの屋久島から」という題名に、世界遺産以外のなにかがあるのだろうかと思って、読んでみたくなった。この本には、世界遺産屋久島の、ほんとうのすがたが書かれている。世界遺産になっていいことばかりなのかと思っていたが、どうやら、そんなに簡単なことではないらしい。

 

【例2】

私がこの本を読んだきっかけは、父に勧められたからだ。若いころから登山が趣味の父は、屋久島にも行ったことがある。この本の筆者は、屋久島の自然に魅せられて屋久島に移住したのだが、父もできれば、屋久島に住めたらどんなによいだろうと思ったことがあるそうだ。実際に住んでいる人にとってはどんな問題があるのか、それをを私に知ってほしくて勧めたそうだ。

このように、まずは本について軽く述べてみましょう。そして、つぎは、先ほどやってもらった、いちばん印象に残ったところをあげます。

この本を読んで、私いちばん興味を持ったのは、(印象に残ったのは)

〇〇〇〇〇〇

だ。

という形にしてみましょう。

そして、そこに言葉を補っていきます。1200字を書くには、肉付けしていく必要がありますから。

2 興味を持った話題に関する自分の体験をあげてみよう

渋滞

まずはじめにあげる「興味を持った部分」になにを選ぶかで、その後の流れが変わってきます。

たとえば、世界遺産に訪れる人の多さとマナーの悪さに興味を持ったとしたら、

  • 私も前に世界遺産の〇〇に行ったことがある。たくさんの人が来ていて、やはり、マナーもよくなかった

というような似た体験が書けそうです。屋久島は、日本での正解遺産登録1号のため、その後世界遺産として登録されたところでは、観光客のさばき方も上手になっているようです。ですから、ほかの世界遺産がとても快適だったという人は、屋久島との違いを考えてみてもよいでしょう。

3.もうひとつの似た体験または聞いた話を書く

さて、似た体験をひとつ書くことができました。

つぎは、もうひとつの似た体験を書くか、または、両親や兄弟、友人から聞いた話を書いてみましょう。「もうひとつの屋久島から」は、社会的な話題が多いため、ニュースで見た話や本や新聞、図鑑で読んだ話題などを利用するのもよいでしょう。

世界遺産とその問題点について調べて、「もうひとつの屋久島」と比べるというのもありです。

4.最後は全体のまとめ

どんなところに惹かれるかは読んだ人の数だけあります。「もうひとつの屋久島」を読んで、この本のテーマはなんだと思いますか? そのテーマにちなんだ「わかったこと」でまとめるとよいですね。

題名にある「もうひとつ」の意味を考えてみて、自分なりに導き出した答えを書くのもよいでしょう。

自分の体験や聞いた話(調べた話)の話題がうまく生きてくるようなまとめになると、さらによいでしょう。

「もうひとつの屋久島」感想文の参考例

私がこの本を選んだのは、屋久島という名前を聞いたことがあったからだ。世界遺産の島ということしか知らない。「もうひとつの屋久島から」という題名に、世界遺産以外のなにかがあるのだろうかと思って、読んでみたくなった。この本には、世界遺産屋久島の、ほんとうのすがたが書かれている。世界遺産になっていいことばかりなのかと思っていたが、どうやら、そんなに簡単なことではないらしい。豊かな自然が残る世界遺産の屋久島の顔ばかりが有名だけど、あまり知られることのないもうひとつの別の顔を知ることができた。この本を読んで、なによりいちばん印象に残ったのは、物事にはいい面と悪い面があるということだ。世界遺産になった屋久島は、一躍脚光を浴びてたくさんの人が訪れるようになったが、その反面、観光客のマナーの悪さも目に付く。自然は保護しなくてはならないけれど、それによって仕事を失う人もいる。屋久島のもうひとつの顔には、そのような住んでいる人ならではの苦悩が見える。

私は、観光地に住んでいる。特に夏になると海水浴客が押し寄せてくるので、道路は大渋滞するのが当たり前になっている。海沿いの道路は、もう歩いた方がましなくらいののろのろ運転が続く。だから、夏のあいだは、車で移動できない。遠くからやってくる人たちは、ポイ捨ても当たり前だ。海が有名な町だから、海水浴客が来てくれるのは、町にとってもありがたいことなのは子どもの私でも理解できる。観光客相手の仕事もある。でも、その分、道が渋滞したり、町が汚くなったり、悪い面もあるのだ。世界遺産の屋久島よりずっと小さな話題だけれど、私の町にも、観光客が来ることで起こる良い面と悪い面がある。

世界遺産に登録されると、急に観光客が増える。世界遺産を尋ねるツアーなどもたくさんある。一度観光客が増えると、それに対応するために、町の整備をしたりするらしい。また、観光客相手の仕事も増える。父の話では、世界遺産へ人が群がるのはわずかな期間らしい。富岡製糸場では、世界遺産に決まった年には年間130万人の人が訪れたけれど、2年後には80万人まで減り、今では50万人ていどだそうだ。なんと半分以下に減っている。「もうひとつの屋久島」にも、島の観光客が減ることで仕事がなくなるかもと不安になる声があると書かれていた。世界遺産に登録されることは喜ばしいことだけれど、やはり、悪い面も当然出てくるのだと実感した。

この本を読んで、物事には良い面と悪い面があると思った。屋久島のことや、私の住んでいる町、世界遺産になった町だけの話ではなくて、何にでも当てはまると思う。良い面と悪い面のバランスを取るのは、とても難しいのだとわかった。でも、私たちは、少しでも物事がよくなるよう、考えていかなくてはならない。屋久島のもうひとつの顔が、それを教えてくれているように思う。自分のことだけでなく社会のことも考えることができる大人になりたい。

おまけ

筆者がこの本で伝えたかったことのひとつに、

自分の意見を持ちそれを主張することの大切さ

があります。エピローグや表紙のカバーにも書かれています。

感想文を書く際に、そのようなテーマを選ぶのもよいでしょう。

 

ABOUT ME
菅野恭子
筑波大学第二学群日本語・日本文化学類卒。 作文指導に定評のある言葉の森にて指導に携わる。 現在、言葉の森の教材・指導法にてシンクス東品川教室・シンクス上永谷教室・シンクス阪東橋教室で作文教室開講中。 2000年2001年2002年生まれの三兄弟の母。