みなさん、こんにちは。
作文のきょうこ先生です。
今日は、2023年度課題図書『それで、いい!』の感想文の書き方について解説します。
この本は、低学年向けです。
低学年の課題図書の中でも、文字数が多い本になっていますので、もともと読書に慣れている子や、夏休みに少し長い本にチャレンジしたい子におすすめしたい一冊です。
正直なところ、低学年のお子さんにひとりで感想文を書かせるのは酷だと思っています。
ご家庭で親御さんが教えることを想定して解説しています。
低学年のお子さんにも理解できるように、かみ砕いてご指導いただけますと幸いです。
『それで、いい!』のあらすじや登場人物について
表紙を見てわかるとおり、このお話の主人公はきつねです。
絵を描くのが大好きで、心が動かされたものはなんでも、描きとめておきたいほど。
ある日、やまねこに、絵をバカにされたきつね。コンクールに出品して、見返してやると息巻くのですが……。
うまく描こうとするほどに、絵を描く楽しさから遠ざかり、ついには、自信をなくしてしまうのです。
そんなとき、きつねをはげましてくれた友達がいました。それは、うさぎ。
うさぎは、きつねが捨てた絵を何枚も、部屋の壁に貼っていたのです。その絵は、思うように描けないことにイライラして、くしゃくしゃに丸めて捨てたもの。
一枚一枚を見ていたら、描いたときの気持ちまで鮮やかに思い出したきつねは、描きたいから描くということを思い出します。
そして、生まれ変わった気持ちで描いたコンクール用の絵は、大事なことを思い出させてくれたうさぎの顔でした。
心が温まるお話です。
『それで、いい!』は、こんな子に向いている
この本で感想文を書くのが向いていると個人的に思うのは、
- 大好きなことがある子
- 励ましてもらったり優しい言葉をかけてもらった経験がある子
- 絵を描くのが好きな子
- コンクールに向けてがんばった経験がある子
などです。
自分もきつねと同じような体験がしたことがある! そう思えることができれば、感想文が書きやすくなります。
感想文の書き方の流れ
感想文の書き方ですが、つぎのような流れに沿って書いていくと、比較的簡単に取り組めます。
- この本を選んだきっかけと、あらすじについて
- 心にのこったところと、それを深める話題 その1
- 心にのこったところと、それを深める話題 その2
- さいごのまとめ
文字数が800字となっています。
心にのこったところとそれを深める話題その1のみでも、800字に届きそうな場合もあります。800字までとてもじゃないけれど届かないという場合、その2も加えて字数を調整しましょう。
では、それぞれ詳しく解説していきますね。
本を選んだきっかけとあらすじ
これは、書かなくてもよい場合もありますが、入れておくと字数を稼ぐことができます。まとまった文字数を書くのが難しいお子さんにとっては、ここで字数を稼げると安心して進めることができると思います。
ますは、どうしてこの本を読もうと思ったのかと書きましょう。
- きつねの絵を見ておもしろそうだと思ったから
- それで、いい!という題名が気になったから
- お母さんにすすめられたから
など、正直な気持ちを書けば大丈夫です。なぜ?という点をできるだけ深く考えてみましょう。低学年だと、ひとりで深く考えることは難しいです。ですから、親御さんが上手に質問を重ね、気持ちを引き出してあげるとよいですよ。
そのあとは、あらすじです。
あらすじは、書き写すものだと考えている子も多いですが、そうではありません。
また、感想文で大事なのはあらすじではなく、感想もふくめた自分自身の話題です。ですから、あらすじ自体は短くてよいのです。
例えば
絵をかくのが大好きなきつねがいます。あるとき、大好きでかいていた絵を、コンクールに出すことにしました。みんなにすごいと言われる絵をかかなくちゃと思ったら、どうやってかけばよいのかわからなくなってしまいます。きつねは、絵をかくのをあきらめそうになるのですが、友だちのうさぎがはげましてくれます。きつねは、ただ楽しいからかいていたことを思い出し、また、かきはじめるのです。
心にのこったところとそれを深める話題
つぎは、心にのこったところについて書いていきます。
感想文の中心はここです。
心にのこったところを取り上げた後、それを深める役割をしてくれる話題について書いていきます。深める話題というのは、
- 自分も同じような体験をしたという話題
- ほかの人から同じような話を聞いたという話題
- もし自分だったらと想像してみたという話題
などです。
とにかく、心にのこったところと重なる話題を探しましょう。
たとえば
この本を読んで、いちばん心にのこったのは、きつねが絵をかくことが楽しくてたまらなくて、だからすきなのだと思い出したところです。
私にもすきなことがあります。きつねは絵をかくのがすきだけれど、私はピアノをひくのがすきです。れんしゅうがいやだなと思うときもあります。コンクールの前は、れんしゅうがとくにきびしくなるので、つらいです。そんなときは、ピアノをやめたいと思うこともあります。でも、コンクールのことをわすれて、ひきたいなあと思うときにひくと、やっぱりピアノは楽しいなあと思います。私はピアノがすきなんだとかんじます。だから、きつねのきもちがとてもよくわかりました。もしわたしがきつねだったら、やっぱりえをかくことをやめていないとおもいます。
このように、心にのこったところを深めていきましょう。
内容によっては、800字まで近づくことができます。
足りない場合は、心にのこったところとそれを深める話題その②を作ります。
さいごのまとめ
さあ、もうひとがんばり。
最後のまとめです。
この本を読んで、どんな気持ちになったのかを書いて最後のまとめにしましょう。
たとえば、
- きつねさんがもう一度絵をかけてほっとした
- 最後のページの絵をみて、とてもやさしい気持ちになった
- うさぎさんのようにだれかを応援したい気持ちになった
- きつねをみて今すぐだいすきな〇〇をやりたい気持ちになった
など、どんな小さな気持ちでも大丈夫です。
最後のまとめの段落は、このように書けたらいうことなし。
「この本を読んで、きつねさんがもう一度絵をかけてほっとしました。すきなことができるのは、すてきなことだなあと思いました。」
ぜひ楽しく対話しながら進めてみてください
前述のとおり、低学年のお子さんにとって感想文を書くことは、かなり難しいです。一年生にとったら、やっとひらがなとカタカナがすらすら書けるようになったところでしょう。難しくて当然です。
ですから、決して否定したり焦らせたりせず、対話をもとにして親御さんが文章を考えてあげてください。それでいいと、個人的には思います。
低学年の時期にこそ、読書にしても、書くことにしても、なにより楽しんで取り組んでほしいのです。好きになるのが、上達への近道。
この時期に、書くことへの苦手意識が芽生えると、なかなか払拭することができません。
感想文を書くときに叱られた記憶は、お子さんのトラウマになりかねません。
くれぐれもご注意を。