みなさん、こんにちは!
作文講師の菅野恭子です。学習塾シンクスで作文クラスを担当しています。
さて、今日は、中学生の意見文についてのお話です。
1番、2番、3番……
順番をつけるということを、私たちは日常あたりまえのように行っています。
幼いころから、
「いちばん好きな食べ物はなに?」
とか、
「いちばん好きな人はだれ?」
とか、当たり前のことのように尋ねられましたね。
成長するにつれ、今度は、自分が順位をつけられる側になってきました。
運動会のかけっこで1番とか、サッカーチームで一番とか、クラスで一番算数ができるとか。
さらには、テスト結果はすべて、順位をつけられるようになります。
ちょっと変わったところでは、異性の容姿などを点数で表現するような場合もありますね。
(私が若いころは、そういう男子がいました。今はどうでしょう?)
今回は、この当たり前とも思える「順位をつけること」について、考えてみましょう。
二者択一の意見文の書き方の流れ
「~はよいか」というテーマが与えられた場合、答えるべきは、「よい or 悪い」です。
よいかわるいか、まずは自分の立場を明確にしましょう。
そして、どうしてよいと思うのか(または悪いと思うのか)、その理由をふたつ挙げます。
理由には、その理由を裏付ける自分自身の体験を添えることで、さらに説得力を増すことができます。
最後のまとめには、自分と反対の立場の意見を持つ人に理解を示し、再度、自分の主張を述べます。
流れとしては次のようになります。
- ~はよい または ~は悪い(是非の主題)
- その理由のひとつめ+体験談
- その理由のふたつめ+体験談
- 反対意見への理解→再度是非の主題
では、第一段落から考えていきましょう。
順位をつけることはよい?それとも悪い?
中学生のみんなは、成績や部活など、なにかと順位をつけられますね。
模試を受ければ偏差値が出ます。
仮に、順位がよければ、1桁台を目指してみようなどのモチベーションアップにつながります。その反対で、順位が悪いと、どうせ自分はできが悪いと、努力する前に諦めてしまうことにつながるかもしれません。
自分は、順位をつけることについてどう思うか? また、順位をつけられる中で、どのような体験をしてきたか、思い出してみましょう。
順位をつけることはよいと思う。
または、
順位をつけることは悪いと思う。
いずれかの立場を選んでみてください。
自分の立場を明確にできたら、次の第二段落にうつりましょう。
よいか悪いか、選んだ理由を述べよう
第二段落では、よい(または悪い)と選んだ理由を述べます。
たとえば、「順位をつけることはよいと思う」とした場合、どんな理由が考えられるでしょう?
順位が出ることで、さらに頑張ろうと意欲がわくから?
順位が出ることで、悪い順位をとるわけにいかないので努力するから?
順位が出ることで、自分の実力を客観的に見ることができるから?
そのように、思いつく理由を挙げていってください。
なにかの選択の裏には、必ず理由があります。もちろん、なんとなく~というふわっとした場合もあるでしょうが、それでも、ぼんやりとしていても理由があるはずです。
そして、挙げた理由に添える体験談を考えていきます。
たとえば、
順位が出ることで、自分の実力を客観的に見ることができるから
という理由を挙げた場合。確かにそうだったよね、と思える自分自身の体験を思い出してください。
自分では、英語はしっかり理解したつもりで、かなりできるほうだと思っていたのに、いざテストを受けてみると、クラスの真ん中以下だということがわかった、といった体験です。
実際の体験談が加わることで、挙げてくれた理由に説得力が増します。
つぎの第三段落も、第二段落同様、理由と体験談を述べていきましょう。
ただし、ほんの少し趣向を変えてみます。
ふたつめの理由と体験談または聞いた話
第三段落は、ふたつめの理由です。
第二段落では、自分自身の体験談を添えました。
第三段落も、理由に続けて自分自身の体験談を書いてもよいですが、少し違った内容にすることで、さらに内容に深みがでますので、その書き方をご紹介しますね。
それは、親や友人など周囲の人から聞いた話を入れてみるということです。
または、伝記になるような人物や、だれもが知っている著名人の話題でもよいです。
たとえば、お母さんに聞いた話として、
私の母は、高校時代にクラスで最下位の成績をとってしまったことがあるそうだ。自分自身、かなりショックを受けて、必死で勉強したらしい。その勉強の中で、やりたいことを発見し、進路が定まったので、クラスで最下位という順位を取らなかったら今の自分はないかもしれないと言っていた。
と入れます。
是非の主題を選んだ理由をふたつ、第二段落と第三段落に入れることができたら、いよいよ最後のまとめ、第四段落に入ります。
反対意見への理解から、再度是非の主題
第一段落で、自分の立場を明確にするという作業をしました。
よいか悪いか、自分が選んだものと対極にいる人に対して、
そうだよね~、うんうん、それもわかるよ
と、とりあえず理解を示してあげるのが、反対意見への理解。
みんなも、頭ごなしに反対されるより、
「うんうんそれはわかるよ、でもね」
と意見を言われるほうが少しは聞く気になりませんか?
そうやって理解を示したあとで、再度、第一段落で述べた是非の主題を繰り返します。
どうでしょう?
流れはつかめたでしょうか?
参考例 生徒さんの意見文から
私は順位をつけることはよいことだと思う。
第一の理由は、自分に自信が持てるからだ。順位が高ければ高いほど自分に自信が持てると思うし、前よりも順位が上がっていれば、それはそれでまた自分に自信が持てると思う。私は前回、期末テストを全く勉強せず、悪い順位を取ってしまった。でも、次のテストまでは全力とまではいかないが少しだけ勉強してみた。すると順位は三十位以上あがり、自分の中での最高順位を取ることができた。そうなるとやっぱり順位は少しでも自分の自信につながると思う。
第二の理由は、今の自分のレベルを知ることができるからだ。順位といってもまだ私は、自分の学校や学年の順位しか知らないが、その学年の中での何位かを知ることができる。私はよくニュースで、オリンピックで金メダルをとった選手を見る。その選手たちは世界で一位をとったすばらしい選手たちなので当然金メダルをとるまでにきびしいトレーニング練習をくりかえしてきた。その練習やトレーニングしてきた結果一位なので、きっとそのトレーニング内容や練習内容も一位なんだと思う。その大変なトレーニングを繰り返しやってきてやっと自分のレベルが知れるし、自信にもなると思う。この選手たちを見るとやっぱり順位があるからこそ自分のレベルを知れるんだと思う。
たしかに順位があるとどうしても気にしてしまってなかなか立ち直れなかったり、他人と自分を比べるのがいやだという人もいると思う。でも順位があって知れることもあると思うし、順位があるから自分の自信につながることがあると私は思う。このように私は、このふたつの理由から順位をつけることはよいと思う。
反対に、順位をつけることはよくないと書いてくれた生徒さんもいます。
その子は、つぎのような理由をあげてくれました。
- 順位が低いことがさらにやる気をそいでしまうから
- 思うように順位があがらないともう無理だと諦めてしまうから
中学に入学して、はじめから学習を軌道に乗せることは簡単ではありません。
そのうえ、一度躓いてしまうと、取り戻すのも厄介です。
そうなると、悪い順位を取ることに慣れてきてしまい、どうせ自分はこの程度と諦めてしまう場合もありますよね。
そういう経験がある子には、「順位をつけることはよくない」とした方が書きやすいかもしれません。
やだなあの裏に隠されているものは何か?
意見文を書くのは、自分の気持ちをひとつひとつ確認する作業になります。
ああ、私ってこんなふうに考えていたんだなあ。。。
と、新しい発見があるかもしれませんね。
自分の思考を明らかにする、書くことにはそんな作用もありますよ。