作文の書き方

動作情景の結びを理解するには

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小4の項目に、動作情景の結びというものがあります。

なにやら難しそうな印象を受けますか?

作文の最後、結びの部分ですが、ここを動作や情景でまとめましょうというもの。

それまでは、
「~と思いました。」
というように感想を書いてまとめていたものを、ひとつ、レベルアップさせていきます。

たとえば……

 「僕は思わず走り出しました。」
 「お母さんは大笑いをしました。」
 「校庭には秋の夕日が輝いていました。」
 「ぼくは小さくガッツポーズをしました。」

このように、余韻を含んだ印象的なシーンで終わらせるのです。

実はこの項目は、説明する方も難しい。
というのは、理解度に大変個人差がある項目だからです。

それまでの読書経験や、好んで読む本の傾向が出るのではないかと、個人的には思っています。

動作情景の結びで終わる物語も多いので、何度も触れて体感している子はすぐに理解できます。
逆に、あまり触れていない場合、動作情景の結びなのか、感想でまとめた結びなのか、その区別がつかないこともあります。

そういう意味でも、読書経験は必要不可欠。
優れた読み手は、優れた書き手でもあると思います。
逆もまた然り。

書く力があるということは、読む力、つまり読解力があるということです。

今回は、動作情景の結びの項目を挙げましたが、この項目に限らず、読むことと書くことは連動しています。

自分が書けるようになると、書き手の意図することがわかってきます。
そうなると、問題文を読んだとき、どこが外せない大切なポイントで、どこが枝葉の部分かも、理解できるようになるのです。

余談ですが、先日都立高推薦で合格した中3生が、そのことにいたく納得していました。
以前は、実例などの枝葉の部分に注目してしまうことが多かったけれど、書き方を学んでからは、重要ポイントがどこなのかがわかるようになった、と。

だから、作文の勉強をはじめると、読解力もついてくるのです。

話が逸れますが、先日、都立高の過去問の問題文を読んでいたのですが、続きが気になって仕方ないもばかり。
早速書店に寄り購入した本がこの文庫。

原田マハ星がひとつほしいとの祈り (実業之日本社文庫)

2015年の国語に、「斉唱」が使われていました。

その「斉唱」を含む7つの短編が収められている短編集ですが、すべて動作情景の結びでしめくくられています。

全文読まないとこの余韻に浸ることはできないとは思いますが、ご参考までに。

椿姫

電車がゆっくりと減速する。駅のホームが近づいてくる。

夜明けまで

夜明けまで、ほんのわずか。
流れる涙を、そのままにしていたかった。

星がひとつほしいとの祈り

入道雲が大きく湧き上がっている。少し身体を伸ばして、文香は窓の向こうに広がる空を探るように眺めた。
いちばん星をみつけるには、まだまだ陽が高いけれど、そうしたかった。

寄り道

真上を少し過ぎた太陽が、白いコンクリートに濃い影をふたつ、作っている。海ははればれと、どこまでも青い。

斉唱

迷わずに来よう、と梓は決めた。
どんなに雪の降りしきる季節であっても。花々がほころび山が笑う春ならば、なおのこと。

長良川

川面には、光を戻した宿の明かりが、ゆらゆらと点っている。堯子の目には、いっさいが滲んで美しく見える。

沈下橋

橋の上のふたつの影、その真横を、光の粒がふかりと掠める。蛍の乱舞が始まったことに、母と娘はまだ気づかずにいる。

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ABOUT ME
きょうこ先生
2003年より作文指導に携わる。東京(品川)横浜にて対面指導。 現在はオンラインをメインに、愛媛県松山市にて対面指導を行っている。長く続けてくださる生徒さんが多いのが自慢!(平均5〜6年。最長は13年!) 作文がスラスラ書けるようになった、国語の成績がぐ〜んと上がったという声はもちろんのこと、自分の意見が言えるようになった、コミュニケーション力が上がった、親子の会話が増えたなどの声も多くいただく。