みなさん、こんにちは!
作文講師の菅野恭子です。学習塾シンクスで作文クラスを担当しています。
こんな中身のない内容ある?
先日、ネットでおもしろい投稿を発見しました。
Z会の作文講座に取り組むお嬢さんが書いた構成をみて、こんな中身のない内容ある……?という投稿です。
(まったく面識のない方でしたが、ネタとして使わせていただいてもよいか伺ったところ、快く了承してくださいました。ありがたいかぎりです。)
さて、その構成というのがこちら。
見えるかな?
はじめ・なか・おわり の三部構成ですね。
この子は、お習字に行ったことを書くようです。
はじめ:昨日私は習字やさんで習字をならった。
な か:足はまいしゅうしびれる。他の人はしびれてなさそうだった。
おわり:あしがしびれないこつをつかみます。
お習字に行ったのですが、お習字のことには一切触れていないのがおもしろいですね(笑)
この子にとっては、お習字よりも足のしびれの方に関心があるようです。
正座をする機会もあまりないでしょうから、気になるのもよくわかりますよね。足のしびれについてしか書いていないところが妙にかわいいなあと感じました。
また、子どもらしい正直な気持ち満載です。
魅力的な内容に変身させます!
このあとどう書いていったらよいの? そんなふうに思われるのも理解できます。
でも、この構成、書き方によっては、この子らしさがあふれる魅力的な作文になる可能性を秘めていますよ!
では、どのように文章にしていったらよいのか。
順に解説していきますね。
簡単にまとめた動画がこちらです。動画の内容を補っていく方法で解説していきます。
はじめ→第一段落
まず、
「いつ、なにをしたか」
という内容をしっかりおさえて書き出していますので、そこはOKです。
「習字やさんで習字をした」という文は、とてもかわいらしい印象を受けますが、実際に文章にするとなると改良の余地がありますね。
また、習字には定期的に通っているようですので(「なか」の部分で足はまいしゅうしびれるとあることからわかります)、毎週何曜日に通っているなどの説明が欲しいところです。
その2点を意識するだけで、つぎのような文章が書けると思います。
昨日、私は、習字を習いに行きました。毎週火曜日は習字の日です。〇年生から習い始めました。
なか→第二段落と第三段落にわけてみよう
なか の部分は、この作文の見どころになるところ。個人的には、なかを第二段落と第三段落のふたつに分けて、しっかり書いてほしいです。
第二段落の話題の広げ方
まず、
「足はまいしゅうしびれる」
について、詳しく書いてみます。
習字を習いに来ているのに足に注目しているので、たとえばこのように書けそうです。
習字は正座して書くので、毎週かならず足がしびれます。しびれなかったときは、1回もありません。まるでひとまわり足がふくらんでしまったみたいな感じがします。足のしびれが気になって、ぜんぜん習字に集中できません。
マーカー部分のように「まるで~みたい」と、たとえの表現をつかってみるのもおすすめです。
私の想像ですが、習字を書いているあいだも、きっと足のしびれが気になっていると思うんですよね。うわの空で字を書いているのではないかと……。
実際に対面で指導しているときは、そのあたりの様子や気持ちを尋ねながら進めていきますが、それができないので想像の範囲で話を膨らましてみました。
第三段落の話題の広げ方
ここでは、
「他の人はしびれてなさそうだった。」
を膨らましてみましょう。
毎週毎週足がしびれてしまう自分。じゃあ、他の人はどうなんだろう? そう思って周りを見回してみたのでしょうね。そして、
「あれ? みんなしびれてないみたいだよ!」
という発見をしています。このときに、もし、ほかの子に
「ねえねえ、足、しびれないの?」
と聞いたことがあれば、そのときの会話をぜひ使ってほしいところ。
「ねえねえ、〇〇ちゃん。〇〇ちゃんって、足、しびれないの?」
ととなりの子に聞いたら、
「うん、もうなれちゃったから、ぜんぜんしびれないよ」
と言いました。
こんな会話を入れてみたら、生き生きとした作文になってきますね。
また、会話がなかった場合では、他の子がしびれていない様子を見てどんなことを思ったかを書いてみましょう。
みんなはどうしてしびれないのだろうと不思議に思いました。足がしびれないから、習字が楽しいのかもしれません。私は、足がしびれるのがイヤなので、習字もなんとなくイヤです。
というわけで、ふたつ、書き方の例ができますね。
みんなはしびれないのかなと思って教室の中を見回しました。他の人はしびれてなさそうでした。
私は、となりに座っている子に、
「ねえねえ、足、しびれないの?」
と聞きました。すると、
「うん。もうなれちゃったからぜんぜんしびれないよ」
と言いました。
みんなはしびれないのかなと思って教室の中を見回しました。他の人はしびれてなさそうでした。みんなはどうしてしびれないのだろうと不思議に思いました。足がしびれないから、習字が楽しいのかもしれません。私は、足がしびれるのがイヤなので、習字もなんとなくイヤです。
このように、「なか」の場面を第二段落と第三段落にわけてみました。
はじめ・なか・おわり の三段落構成という指定がある場合は無理にわける必要はありません。臨機応変にいきましょう。
おわりのまとめ方
いよいよ最後、おわりについて。この子が書いた構成では、
「あしがしびれないこつをつかみます。」
となっています。最後まで習字のことは出てきませんでした(笑)。
ということは、習字の前に、足のしびれを解消しないといけないのでは? と想像しました。
そこで、こんなまとめ方ができそうです。
私は、習字よりも先に、足がしびれないこつをマスターしないといけないなと思いました。足がしびれなくなったら、きっと、習字に集中できるようになると思います。
どうでしょうか?
とっても魅力的な作文になったと思いませんか?
対話をすることで考えがまとまります
シンクスの作文クラスでは、生徒さんとの対話を通して、書きたいこと・伝えたいことを探っていきます。
ぼんやりとしたイメージを、対話を通して具体的なものに変えていきます。
はじめは突飛だと思われるようなことも、対話をしながら整理していくと、ほんとうに伝えたいことがすっきり見えてくるのです。
この道筋が見つからないので、みんな、書くことがイヤになってしまうのではないでしょうか。
この子の、”習字がイヤなんじゃなくて足がしびれるのがイヤ”と同様、書くのがイヤなんじゃなくて考えがまとまらないのがイヤなのかもしれません。
考えをまとめる訓練は、思考力を深めるにはうってつけ、これからの子どもたちにはますます必要になる力です。
書くことが苦手でお困りの方は、一度、体験レッスンを受けてみてください!
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