みなさん、こんにちは!
学習塾シンクスで作文を教えている菅野恭子です。
6月ももうすぐおしまい。
来月は、夏休みです。
子どもたちにとっては楽しい夏休みですが、宿題がいやだなあという一面もありますね。
特に感想文にはお困りの方も多いことでしょう。
今日は、感想文が難しいと感じる低学年のお子様に向けて、別なアプローチの仕方もあることをお伝えしたいと思います。
ママりゅうのおもちつき
まず、こちらの作文を読んでみてください。
「ママりゅうのおもちつき」
十一日の土よう日、ママとおれでおもちつきをしました。おもちのつくりかたは、このあいだかった『ばばばあちゃんのおもちつき』という本にのっていました。
よんだときにママが、
「こんどやろうね。」
といいました。おれのおとうとのりょうすけときょうすけは、やりそうもないのに、
「やるやる、いますぐやろうやろう。」
とおおさわぎしました。おれは、
「またせっかちがはじまった。」
といいました。ママは、
「こんど、もちごめかっとくからね。」
といいました。それで、もちごめをせいきょうにちゅうもんしました。
火ようびにもちごめがついたので、
「さっそくつくろうか。」
とママがいいました。おれが、
「ふつうの日はやらないから土よう日か日よう日にやろう。」
といいました。どうしてかというと、ママはおしごとをしているので、ふつうの日はいそがしいからです。
たのしみにしていた土よう日がやってきました。ママは、
「よし、さっそくもちごめをたこう。そうだ、あんこもつくちゃお。」
といって、あずきをみせてくれました。
「これがあずきだよ。」
とママがだしたあずきは、ただのコーヒーみたいなまめつぶでした。
もちごめがたけたのですりこぎでつぶしました。おれがつぶしていたら、ちょうどパパがしごとからかえってきました。ママが、
「パパがかえってきたからパパにもやらせなよ。」
といいました。パパは、
「おう。」
といいました。パパがつきはじめたらあっというまにおもちができました。どうしてかというと、パパはちからがあるからです。できたおもちはやわらかくて、まるできょうすけのおしりのようにつるんとしていておいしそうだなとおもいました。
きなこあじとさとうじょうゆとあんこでたべました。りょうすけとパパはなっとうでたべていました。おれはおもちになっとうはちょっとね、とおもいました。とてもおいしかったので、またやりたいなとおもいました。
これは、当時1年生の作文です。ひらがなが多くて読みにくいと思いますが、原文のままになっています。だれの作文かは、最後に。
この作文に登場するのがこの本、ばばばあちゃんの おもちつき (ばばばあちゃんの絵本)
主人公のばばばあちゃんが、子どもたちと一緒に、おもちを作るという本です。
炊いたもち米を、すりこぎでつぶすという、杵も臼も使わない簡易版もちつき。
ほんとうのお餅のようになめらかには仕上がりませんが、それでも、もち米特有の滋味あふれる甘味や、もちもちとした食感が楽しめるおもちができあがります。
そんな内容の本を読んで、
自分もおもちをつくってみたよ!
ということを書いたのがこの作文です。
題名の「ママりゅう」というのは、ママ流という意味ですね。
自分のことを「おれ」と表すあたりも、小1男子っぽいです(笑)
これが、実際の、すりこぎでつくるおもちつきの図です。
実践型は感想文としても通用する
この作文は、感想文として書いたものではありませんが、少し手を加えると感想文として通用します。
たとえば、結びに、
「ばばばあちゃんのおもちつきは、読んだらすぐにまねしたくなります。おもちをつくれてとても楽しかったです。ぼくは、こんなふうに、まねしてやってみる本がすきです。」
と入れてみると、ほら、立派な感想文になりませんか?
低学年で、感想文が書けない場合は、このような実践型の本を読んで、おなじことをやってみましょう。
そして、そのことを書いてみるのです。
おすすめ:実践型絵本
ばばばあちゃんシリーズは、おもちつきに限らず、なにかを作るというテーマが多いです。
また、子どものためのお料理の本なども使えますね。
参考までに何冊かご紹介します。
本屋さんや図書館にいけば、さらにいろいろお好みのものが見つかると思います。
読書習慣をつくるきっかけにも
仮に感想文や作文につながらなかったとしても、親子でなにかに取り組むのは楽しいものです。
このような、本の内容を実践してみるという遊びが休日の過ごし方になったとしたら……
あたりまえのように、読書が生活の中に組み込まれると思います。
ぜひ、やってみてくださいね!
おまけ:種明かし
はじめにご紹介した「ママりゅうのおもちつき」を書いた子は、私の長男です。
この作文は、実は、朝日小学生新聞にも掲載されました。
のびのびした雰囲気と、いきいきとした会話が評価されたようですよ。