感想文の書き方

感想文の書き方 課題図書「きみ、なにがすき?」で感想文を書くなら

みなさん、こんにちは!

学習塾シンクスで作文を教えている菅野恭子です。

感想文の書き方についての記事、今回で5回目になります。

第一回は、中学年向けの課題図書「レイナが島にやってきた!」で感想文を書くなら

第二回では、高学年向けの課題図書「こんぴら狗」で感想文を書くなら

第三回では、高学年向けの課題図書「ぼくとベルさん」で感想文を書くなら

第四回では、中学年向けの課題図書「最後のオオカミ」で感想文をかくなら

をお伝えしました。

今回は、低学年(1,2年生)向けの課題図書「きみ、なにがすき?」で感想文を書くためのポイントをお話ししようと思います。

前回同様、親御さんがご家庭で教えることを前提にすすめていきます。

実際、1,2年生にとって感想文を書くことは、かなり難しいです。

親御さん主導ですすめてあげるほうが無駄なストレスもなく仕上げることができるはずです。

低学年の感想文

低学年では、一冊の本を読んで、どこがどんなふうによかったかを理論的に考えることはまだまだレベルが高いです。全体の印象で、「楽しかった」「この本好き」と捉えることが多いからです。

夏休みの宿題だから、まずは書いてみようかという軽い気持ちで取り組むことをおすすめします。中には、賞を狙いたいという方もいるかもしれませんが、くれぐれもお子さんにとってプレッシャーにならない程度に、と個人的には思います。

もちろん、書ける子が皆無というわけではないので、お子さんの状況にもよります。

心の負担にならないよう、楽しい雰囲気で進めることができるとよいですね。

★甘いことを言っているように聞こえるかもしれませんが、どうも親御さんのほうがヒートアップしてしまって、言葉の暴力と言ってもいいような教え方になる場合があるようです。教える側としては慎みたいところです。

「きみ、なにがすき?」ってどんな本?

森の奥に住んでいるあなぐまくんが畑でなにかを育てようと思いつきます。

何にしようかな?

そう考えたときに浮かんだのは、仲良しのお友達が好きなものでした。

こぶたくんが好きなじゃがいも。

りすが好きなリンゴ。

うさぎが好きなニンジン。

はりねずみが好きなキイチゴ。

友達とおいしいね!と言いながら食べる姿を想像して、わくわくするあなぐまくん。

ところが、みんな、すでに自分の畑で作っていて、収穫したものをあなぐまのところに持ってくるのでした。

「じゃあ、なにをつくったらいいんだい?」

がっかりしすぎて、怒り出してしまったあなぐまくんに、ハリネズミが言います。

「そりゃあ、あなぐま、きみのすきなものをなんでも。それからこのジュース、いっしょにのんでくれたらぼくはとってもうれしいよ」

あなぐまは一晩考えて、テーブルと椅子を作りました。あなぐまの友達たちがいつも集まる場になっています。

 

友達の好きなものを育てようという心優しいあなぐま。

だから、友達はみな、自分の畑で採れたものを、あなぐまのところに持ってくるのでしょうね。

みんなの役に立てないことが悔しいのか、あなぐまは怒り出してしまうのですが、ハリネズミの言葉で、考え直します。

あなぐまは、なにか食べ物を育てるのではなく、仲良しのみんなが集まる場を提供することで、みんなの役に立つことができました。

挿絵もほんわか優しい雰囲気の、心温まるお話です。

「きみ、なにがすき?」はこんな子におすすめ

どんなタイプの子にも楽しく読める一冊だと思いますが、特に、周りの人に関心のある子。たとえば、〇〇ちゃんは◇◇が好きで、こんなことを言っていたよ、などと、お友達の話題をよくする子などは、この物語の内容をしっかり理解できると思います。

また、ちょっとした些細なできごとで友達ともめた経験のある子も、このあなぐまくんの気持ちに共感できそうです。

感想文の書き方の流れ

基本的な大きな構成としては、このように考えてみましょう。

  1. あらすじ
  2. ネタ1
  3. ネタ2
  4. まとめ

ネタとは、つぎのひとまとまりです。

心に残った場面 → 自分の似た経験 → 家族など周囲から聞いた話

または、

心に残った場面 → もし~だったら(想像した話)→ その理由

 

厳密にこのとおりにしなくても構いません。

たとえば、

心に残った場面 → 自分の似た経験 → もし~だったら → 家族から聞いた話

のような形でも問題ありません。

大事なのは、

  • いちばん心に残った場面
  • いちばん心に残った場面と似た経験
  • 家族や周囲の人から聞いた話(家族の似た経験など)
  • もし~だったら(想像した話)

これらを用いて、ひとつのネタを完成させることです。

市販の読書感想文の書き方の本に書かれている、はじめ・なか・おわりのなか部分を担う場所だと考えてみてください。

さっそく心に残った場面をあげてみよう

「きみ、なにがすき?」は、文章自体はとても短いお話です。

親御さんも一緒に、お子さんのペースに合わせてじっくり味わってみてください。

読み終えたら、親子で、どこが心に残ったかを挙げていきます。

このあとの作業もあるため、メモを取ることをお勧めします。

心に残った場面と似た経験

たとえば、

  • あなぐまくんが友達思いの優しい子だというところ
  • みんな、自分の畑で好きなものを作っているところ
  • みんながあなぐまくんのところに食べ物を持ってくるところ
  • ハリネズミくんの持ってきたキイチゴジュースはおいしそう
  • あなぐまくんが「なにつくったらいいんだい?」と怒ったところ
  • みんなであなぐまくんのお庭で楽しく集まっているところ

このように、心に残った場面をあげてみましょう。

できれば、なぜその場面が心に残ったのか、その理由も答えることができるとさらに書きやすくなってきます。

なんとなくとか、挿絵の雰囲気とか、明確な理由が出せない子もいると思いますのが、なるべく頑張って深く考えてみましょう。

 

出揃ったら、自分にも似た経験がないか、考えてみます。

お子さんだけがじーっと考えていても、なかなか思い出すことができないと思います。

親御さんが、ヒントを出してあげてください。

あなぐまくんみたいなお友達はいないかな?とか、おいしかったジュースの思い出はないかな?とか。

親子で共有している思い出の中から提案してあげると、意外と思いつくことが出てくると思います。

親御さんの似た経験はヒントになる

同時に、親御さんからも、自分の似た経験を話してあげてください。

たとえば、

あなぐまくんはおばあちゃんのようだね。いつも家族が食べたいものは何か、それだけを考えてご飯を作るものね、自分の食べたいものは後回しにしてるのよね。

とか。

なにかヒントになるようなお話をしていただけると、お子さんも想像がふくらむと思います。

もし~だったら

また、書くか書かないかは別として、「もし~だったら」と想像した話を考えてみましょう。

もし自分があなぐまだったら……

もし自分がハリネズミだったら……

など、いろいろ想像してみましょう。

もしわたしがハリネズミだったら、あなぐまくんが怒ったとき、

「もうしらない!かってにしたら!」

と言って、ケンカしてしまいそうです。

なんていうのもありです。

ネタをまとめていきましょう

心に残った場面と、似た体験、聞いた話、もし~だったら、が出揃ったら、ネタをまとめていきます。

たとえば、

わたしがこのお話を読んでいちばん心に残ったのは、あなぐまくんが、みんなの好きなものを育てようと思ったところです。(いちばん心に残ったところ)

どうしてかというと、自分の好きなものを育てたらいいのにと思ったからです。(いちばん心に残ったその理由)

わたしもあなぐまくんに似た人を知っています。それは、わたしのおばあちゃんです。おばあちゃんはいまでも、家族のごはんを作っています。いつも、家族のみんなが食べたいものを作ってくれて、自分が食べたいものはあとまわしです。まるであなぐまくんのようだと思いました。(似た経験:ここでは似た人について)

お母さんに聞いてみたら、お母さんも、こんだてを考えるときは、家族みんなの好きなものと嫌いなものを思い浮かべ、みんなが喜ぶものを作っているのだそうです。(お母さんから聞いた話)

もし、私がお母さんになったら、やっぱり家族みんなのことを考えてごはんを作るようになるのかなあ。(もし~だったら:想像した話)

 

このようにして、ひとつのまとまりを作ってみましょう。

適当に言葉や文を補いながら進めてみてください。たったひとつ接続後を補うだけでも、ぐっとよい文章になってきます。

低学年の感想文なので、本来は、もうちょっと幼い感じになるでしょう。

最後はまとめの段落

ネタの部分がまとまってきたら、最後は全体のまとめです。

このお話を読んでなにを思ったのか、ネタの部分とからめて感想が書けるとよいですね。

前述のネタを使うとしたら、

あなぐまくんと同じように、自分のお母さんやおばあちゃんも優しいのだなあと思いました、

などとまとめることができますね。

どんなことを思ったか、上手に聞き出してあげると、お子さんも素直に思ったことを答えてくれると思います。うまく文章にならなくても、出てきたキーワードをうまくまとめて、感想としてあげてください。

参考例その1

このお話は、あなぐまくんが畑になにを作ろうかなあと考えるお話です。お友達の好きなものを作ろうとするけれど、みんな、自分の畑で作っているので、あなぐまくんは何を作ったらいいのかわからなくなりました。ハリネズミくんに、自分の好きなものを作ったらいいよ、と言われたアナグマくんは、テーブルといすを作りました。そうしたら、あなぐまくんのところは、友達がみんなあつまる場所になりました。

わたしがこのお話を読んでいちばん心に残ったのは、あなぐまくんが、みんなの好きなものを育てようと思ったところです。どうしてかというと、自分の好きなものを育てたらいいのにと思ったからです。わたしだったら、絶対に大好きないちごを作ります。わたしもあなぐまくんに似た人を知っています。それは、わたしのおばあちゃんです。おばあちゃんはいまでも、家族のごはんを作っています。いつも、家族のみんなが食べたいものを作ってくれて、自分が食べたいものはあとまわしです。まるであなぐまくんのようだと思いました。お母さんに聞いてみたら、お母さんも、こんだてを考えるときは、家族みんなの好きなものと嫌いなものを思い浮かべ、みんなが喜ぶものを作っているのだそうです。もし、私がお母さんになったら、やっぱり家族みんなのことを考えてごはんを作るようになるのかなあ。

このお話を読んで、あなぐまくんと同じように、わたしのお母さんやおばあちゃんもやさしいのだなあと思いました。わたしも、まわりのみんなにやさしくできる人になりたいです。

参考例その2

このお話は、あなぐまくんが畑になにを作ろうかなあと考えるお話です。お友達の好きなものを作ろうとするけれど、みんな、自分の畑で作っているので、あなぐまくんは何を作ったらいいのかわからなくなりました。ハリネズミくんに、自分の好きなものを作ったらいいよ、と言われたアナグマくんは、テーブルといすを作りました。そうしたら、あなぐまくんのところは、友達がみんなあつまる場所になりました。

このお話を読んで、わたしがいちばんすごいなと思ったのは、ハリネズミくんです。どうしてかというと、アナグマくんがおこったときに、とてもかしこい答えを言ってあげたからです。もしわたしがハリネズミくんだったら、おこったアナグマくんに、自分もおこって言い返したかもしれません。「なんでかってにおこってるのよ!」と。わたしにはそんなふうに友達とケンカしてしまったことがあります。大好きな友達とケンカするのは悲しいです。ああ、あんなこと言わなければよかったなあと、ざんねんに思いました。お母さんは、「だいじょうぶ、きっとなかなおりできるわよ」と言ってくれました。お母さんも、子どものころに、大好きな友達とケンカをしてしまったそうです。お母さんがアナグマくんのように、カーっとなってしまったとき、友達も、カーっとなったそうです。お母さんはおばあちゃんに、けんかするほどなかがいいっていうのよ、となぐさめられたといいました。

私もお母さんも、同じようなしっぱいをしているなと思いました。だから、ハリネズミくんはすごいなあと思います。今度ケンカしそうになったら、このお話を思い出して、ハリネズミくんのようになりたいと思います。

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ABOUT ME
菅野恭子
筑波大学第二学群日本語・日本文化学類卒。 作文指導に定評のある言葉の森にて指導に携わる。 現在、言葉の森の教材・指導法にてシンクス東品川教室・シンクス上永谷教室・シンクス阪東橋教室で作文教室開講中。 2000年2001年2002年生まれの三兄弟の母。