みなさん、こんにちは!
指導歴20年、作文をやさしく教える恭子先生です。
やさしく教えるから、やさしく書ける!
やさしい恭子先生っておぼえてね。
魔女だったかもしれないわたし
さて、今回は、読書感想文2023、高学年の課題図書
『魔女だったかもしれないわたし』
こちらの本で、感想文の書き方を解説をしていきます。
感想文の書き方は、いろいろなパターンが考えられます。
正解はありません。
指定されている字数は1200字。
この字数を大変に思う子も多いと思います。
その点をふまえて、
字数が多くても書き上げることを重視した書き方について、
お話ししていきますね。
どんな内容なの?
さて、この本
『魔女だったかもしれないわたし』
の内容について、説明していきますね。
主人公のアディは、自閉という特徴を持っています。
もしかしたら、身近なところに自閉の子がいる人もいるかもしれません。
「人とちがう」
ということでアディは、傷ついたり悩んだりしながら、
本の帯にもあるように、
「このままの自分がすきです」
といえるまでに成長していく物語です。
みんなと同じでいなければならない、そんな考えが窮屈だと思う子や、
一生懸命にひとつのことに取り組んでいる子、
自分の居場所を探している子などは、
とくに共感できる内容かなと思います。
個人的には、人間関係に悩み始むことが増えてきた女子に、
ぜひ手に取ってもらいたい一冊です。
登場人物について
主人公は
主人公は、アディ(アデライン)ですね。
自閉という特徴があり、そのせいで生きづらさを感じています。
たとえば、担任のマーフィ先生に疎まれたり、
クラスメイトのエイミーからは、露骨にいやがらせを受けます。
アディには、キーディとニナという姉がいます。この二人は双子ですが、キーディのみ、アディと同様、自閉という特徴があります。
お父さん、お母さん、姉ふたりにアディという5人家族です。
学校に目を向けてみましょう。
担任のマーフィ先生は、アディの自閉について全く理解がありません。
およそ、教育者にふさわしくない心根を持つ人物といえます。
そして、クラスメートのエミリーが、アディの天敵と言えそうですね。
もともとアディの幼なじみだったジェンナを引き連れ、ふたりでちくちくと意地悪をします。
転校生のオードリーが、ジェンナと親しくなり、安心できる交友関係を築いていきます。
そして、先生の中には、図書室のアリソン先生のように、アディのよき理解者もいます。
感想文の書き方の流れ
感想文の書き方がわからず、あらすじを追っていくだけになってしまう子も多いと思いますので、まずは、感想文の書き方の流れを説明しますね。
大事なところなので、しっかり頭に入れてくださいね。
大きくつぎのようにグループ分けしていきましょう。
- この本を手に取ったきっかけとあらすじ
- 印象に残ったところ その1 似たような体験・想像した話・聞いた話
- 印象に残ったところ その2 似たような体験・想像した話・聞いた話
- 印象に残ったところ その3 似たような体験・想像した話・聞いた話
- 全体の感想、学んだことを今後どう生かすか
この本を手にしたきっかけとあらすじ
では、順番に解説していきますよ。
まずは、この本を読んだきっかけや、あらすじに触れておきましょう。
本を手にしたきっかけは、
たとえば、
「このままの自分が好きです という帯の一文が気になったから」とか
「魔女だったかもしれないってどういうこと? と思ったから」とか、
なぜこの本を読もうと思ったのかについて、書いてみましょう。
「挿絵が気に入ったから」でも大丈夫ですよ。
つぎにあらすじについて。
一生懸命本文を書き写す子も多いのですが、ざっくり、どんな話なのかを書きますよ。
あらすじをまとめる際にヒントになる点をあげておきますね。
主人公のアディは自閉という特徴がある。キーディとニナという二人の姉がいる。キーディはアディと同じく自閉だ。
担任のマーフィ先生は、アディの自閉について全く理解がなく、厳しく冷たい態度をとる。クラスメイトのエミリーとジェンナも、アディに意地悪をする。クラスの中でアディを理解してくれるのは、転校生のオードリー。
ある日、魔女裁判のことを知ったアディ。人と違うという理由で魔女とされ処刑された人がいた。この時代に生きていたら、私も魔女にされていたかもしれないと感じ、慰霊碑を立てることを思いつく。家族やオードリーの協力や応援を得て、アディは慰霊碑を立てることを村の委員会に訴えていく。
このような点をもとにして、ざっとあらすじをまとめてみてください。
印象に残った場面をみっつ(またはふたつ)
では、つぎのステップにいきましょう。
学校で、作文の書き方を、はじめ・なか・おわりの3つにわけると教わった子も多いと思います。
それでいうと、なか の部分になりますね。
ここでは、
この本を読んで印象にのこったところをとりあげていきます。
そして、とりあげたところをさらに深めていきます。
どうやって深めるか、なんですが、
方法が3つあります。
ひとつめ 同じような自分の体験を書く
ふたつめ もし~だったらと想像した話を書く
みっつめ 人から聞いた話や、本で読んだ話など、自分以外の話題について書く
この3つをすべて使ってもいいですし、
いくつか組み合わせてみるのもいいです。
もちろん、ひとつだけでもOK。
印象に残ったことについてですが、わかりにくい方もいるかもしれません。
これは、つぎのように考えてみてください。
たとえば、どこかひとつ、強烈に心に残った場面を取り上げたり
全体を通して訴えかけていると感じたところを取り上げたり。
または、登場人物の中で印象に残るのはだれだったか、などでもよいですね。
注目ポイントはここ
この物語でいうと、
こんなところに注目するとよいかもしれません。
- みんな仮面をつけて生きている
- ひとと違う
- このままの自分が好きです
- いいと正しいとは違う
また、この物語は、あちこちに対比が見られます。
エディ⇔エミリー
キーディ⇔ニナ
オードリー⇔ジェンナ
マーフィ先生⇔アリソン先生
サメ⇔イルカ
など。
一例として仮面に焦点をあて書いてみましょう
段落の書き出しは、何パターンも想定できますが、わかりやすいのは、
「印象的な場面がいくつかあります。まず〇〇ところです。」
という形がわかりやすいでしょう。
次のように書き始めてもよいです。
↓
私は、仮面という言葉が印象的に使われていることに気づきました。
自閉という特徴を押し込めて、はまわりの友達と同じようにふるまおうと努力するアディは、仮面をつけて頑張っています。アディの両親の前で、よい先生を演じているマーフィ先生も仮面をつけています。アディの姉、キーディも同じです。
私も同じように仮面をつけていると感じたことがあります。→自分の体験
もし~だったら もしアディだったら など →想像した話
母も、お母さん仲間のあいだでは仮面をかぶって当たり障りのない話をしているそうです。→聞いた話
こんなふうに、印象に残ったところを、ふたつ、またはみっつ用意していきましょう。
最後のまとめ
さあ、いよいよ最後、おわりの部分ですね。
最後は、全体のまとめを書いておしまいにします。
この本を読んで思ったこと考えたこと、それから、学んだことや理解したこと発見したことに触れましょう。
そして、これらを生かして、今後、どんな自分になりたいか、どんなことをやっていきたいかについて書いていきます。
高学年らしく、大きな視点でまとめることができるとよいですね。
たとえば、
この本を読んで、自分らしくいることはとても大切なのだとわかりました。それは、誰にとっても大切なことです。この本を読んで、仮面をつけて無理に人に合わせるよりも、自分らしくいることが幸せなのだと理解しました。これからは、友達のその人らしさを大切にできる人になりたいと思いました。
このようにまとめられたらOKです。
読むときの注意点
200ページ以上にわたる物語です。
理想としては、少なくとも2回読んでほしいと思います。
一度目は、ざっと全体を通して読んでみて、物語の内容を理解します。
二度目は、特に印象に残った場面や、言葉など、すぐに読み返せるように付箋を貼っておくと便利です。
がんばってくださいね!