みなさん、こんにちは!
作文講師の菅野恭子です。学習塾シンクスで作文クラスを担当しています。
今回は、2019年低学年向け課題図書
『もぐらはすごい』
を読んで感想文を書く方へ、感想文の書き方を解説いたします。
もぐらを見たことありますか?
みなさんは、もぐらを見たことはありますか?
私は、死んでいるもぐらなら見たことがありますが、生きているものを見たことはありません。
もぐらという生き物について知らない人はほとんどいないでしょうが、見たことがある人も、もしかしたらほとんどいないかもしれませんね。
表紙をめくるとこんな言葉が……。
みんなもぐらをしっている。でも……もぐらのくらしはなぞだらけ!
まさに! そんなもぐらの生態について、わかりやすく教えてくれているのがこの本『もぐらはすごい』です。
土の中でいったいどんな暮らしをしてるのか?
生き物に興味のある子にとっては、楽しめる一冊になること間違いありません。
『もぐらはすごい』で感想文を書くなら
低学年の子にひとりで感想文を書かせるのは、正直とてもハードルが高いです。ですから、この解説では、親子で取り組むことを前提に進めていきます。
まず、感想文の構成ですが、大きく分けて4つの部分で組み立てていきましょう。
低学年ではまだ、構成というものを上手に認識することができません。学校では、「はじめ・なか・おわり」というように3つのパートに分けて書いていくように指導されているかもしれません。その場合は、「なか」にあたる部分を4つのパートのうちの2と3に充てると考えていただくとよいでしょう。
4つのパートの内容は、おおまかにつぎのように考えてみてください。
- 本の紹介と、いちばん興味を持ったこと
- 本の内容と同じような自分の体験
- お父さんやお母さんに聞いた話 または 想像した話
- 全体のまとめ
この段階では、まだちんぷんかんぷんかもしませんが、大丈夫。
このあと、1から順に考えていきましょう。
本の紹介といちばん興味をもったこと
感想文の書き方の本などでは、冒頭に、どうしてこの本を選んだのかを書くように解説されているかと思います。また、学校でも、同様の指導をされているかもしれません。
どうしてこの本を選んだのかと言われても……返答に困る子もいると思いますので、私は、本の紹介の方が書きやすいのではないかと考えます。
たとえば、
わたしは、いきものが大好きです。いきもののことをもっと知りたいと思っています。この本を見たとき、もぐらのことは見たことがないし、いったいどんなくらしをしているのだろうとふしぎに思いました。そこで、この本を読んでみることにしました。
そして、その紹介に続けて、いちばん興味を持ったことをとりあげましょう。
『もぐらはすごい』
では、もぐらの特徴がたくさん紹介されています。
- もぐらが1日に食べるミミズは、体重の半分の重さにもなる
- ひとつの穴には、一匹しか住めない
- 穴には、トイレや寝室もある
- 子どものもぐらは独り立ちするため、穴を出て自分だけの穴を作る
などなど、
「へ~~~~っ」
「初めて知った!」
「不思議!」
と思うポイントがたくさんあります。
たくさんあるポイントの中からひとつ、特に興味を持ったところを見つけてみましょう。
書き方の例をあげておきます。
もぐらのうでの力が強いことや、たくさんのみみずを食べること、もぐらのあなには一匹しか住めないことなど、いろいろなことがわかりました。その中でわたしがいちばん「もぐらはすごい!」と思ったのは、子どものもぐらが自分の穴を作りにでるところです。まるでぼうけんに出かけるようだと思いました。
いちばん興味を持ったところと同じような体験をしたことは?
つぎに2つめのパートに進みましょう。
さっき、いちばん興味を持ったところを取り上げてもらいました。
書き方の例では、「いちばんすごいと思ったのはもぐらの子どもが自分の穴を作りにでるところ」にしてみました。
親元を離れてひとりで何かしたこと、たとえば、初めておつかいに出かけたことや、初めてひとりでキャンプに参加したこと、ひとりで留守番したことなど、親に頼らず自分の力で何かをやり遂げたことなどを書くのもよいでしょう。
また、自分だけの部屋を持ったことなども同じような体験といえますね。
いろいろな体験をしていたとしても、ぴったりな内容の体験を記憶から引っ張ってくるのは意外と難しいものです。親御さんが
「あんなことがあったじゃない?」
というように声をかけてあげると、記憶がよみがえるきっかけになると思います。ぜひ声をかけてあげてください。
書き方の例をあげておきますね。
わたしは、ひとりでおつかいに行ったことがあります。お母さんと一緒になんども行ったことがあるお店なのに、ひとりで行くときは、とても遠く感じました。それに、ひとりなので、ちょっとドキドキしました。お母さんにたのまれたものを買って家についたときは、ほっとしました。もぐらは、まだ小さい子どもなのに、自分の穴を作ったらもうお母さんに会うことはありません。わたしにはむりだなと思いました。
ここまでできたら、つぎのパートに進みましょう。
お父さんお母さんが自分の感想を聞かせてあげる
ここでは、お父さん・お母さんに聞いた話を入れてみます。
聞いた話というのは、もぐらに関してお父さん・お母さんが教えてくれたことや感想ですね。
- お父さんは、子どものころにもぐらを見たことがあるそうです
- お母さんは、もぐらのお母さんはどんな気持ちで子どもを送りだすんだろうね、と思ったそうです
こちらも書き方の例をあげておきます。
お母さんは、前にもぐらを見たことがあるそうです。
「いがいとかわいい顔をしてるのよ」
とわらっていました。想像していたよりも小さくて、びっくりしたそうです。お母さんは、
「あのもぐらも、自分の穴を探している途中だったのかな。そうだったら、ぶじに作れたかな」
と言いました。それを聞いてわたしは、ぜったいに自分の穴を作っていてほしいなと思いました。
余力があればですが、この聞いた話に続けて、想像した話が入るとさらに充実した内容になります。
想像した話ですから、
- もしわたしが子どものもぐらで、自分の穴を作らないといけなくなったら、
- もしわたしがもぐらを見たら、
- もし、土の中を見ることができたら、
など、いろいろなパターンで書くことができます。
もしわたしが子どものもぐらで、自分の穴を作らないといけなくなったら、とてもこわいと思います。ふくろうやねこ、犬、いたちなど、てきもたくさんいます。ぶじに自分の穴を作ることができるか自信がありません。
「お母さん」
と泣きながらお母さんのところに帰ってしまうかもしれません。
このようなイメージです。
さあ、ここまでできたら完成まであともう少し!
最後のパートにいきましょう。
最後は全体のまとめ
最後は全体のまとめです。
理想形は、1~3までのパート全体を通して、考えたことやわかったことをまとめるというもの。
しかし、低学年では、全体を俯瞰してみる力はまだ育っていませんので、単純に思ったことを書くのみでOKです。
『もぐらはすごい』というとおり、ほんとうにもぐらはすごいなと思いました。どうしてかというと、子どもなのに、りっぱにあなを作るからです。いつか、ほんもののもぐらを見てみたいです。
このようなまとめでOKです。
お子さんが口にした感想を、親御さんが文章にしてあげてもよいでしょう。
感想文を書く際に親子ゲンカが勃発してしまうのは、とても悲しいことです。低学年のお子さんが自力で書くのはかなりハードルが高いです。
なかなか書けない場合は、今回お伝えした書き方をもとに、お子さんに問いかけ、出てきた答えをもとに書いてあげるとよいですよ。
くれぐれも、
「なんで書けないの⁉」
というダメ出しはなさらないように。作文への苦手意識を増長させるだけになってしまいますから。
親子で楽しく取り組めますように!!!