カンノのひとりごと

書くときの基本の基本

みなさん、こんにちは。

作文講師の菅野恭子です。学習塾シンクスで作文クラスを担当しています。

突然ですが、まずはこの文を読んでみてください。

資料Bで思考停止してしまったのは、経済が成り立たないで思考停止してしまったということだ。

違和感ありますか? もしあるとしたら、どのように手直ししたらよいでしょうか?

なぜこの文を持ち出したかというと。。。

もうおわかりの方もいらっしゃいますね。

文を書くときの基本の基本

はい、今回は、作文を書くときのいちばんの基本についてお伝えしたいと思います。

習慣になってしまったものを修正するには、かなりの労力が必要になりますよね。何事もそうだと思います。文章を書くときも同じです。

今回、改めて基本をお伝えしようと思ったのは、受験作文の指導を通して、基本を押さえることの大切さを痛感したからです。

先にあげた一文は、受験対策で書いてもらった作文の中の一文です。受験生でもこのようなミスをしてしまうのです。内容を充実させることに力を入れたい時期に、文の修正を繰り返していては、いくら時間があっても足りません。

ですから、なるべく早い時期に文章作成の基本をおさえておくことをお勧めします。

主語+述語がすべての基本

小学生になると、文の基本を学びます。

だれが(なにが)どうする。⇒お母さんが笑う。

だれが(なにが)どんなだ。⇒わたしは幸せだ。

だれが(なにが)なにだ。 ⇒お父さんは会社員だ。

どれもシンプルな文ですね。主語と述語がわかりやすい文です。

「主語+述語」のこのような文が、すべての基本です。文の構成の中での大きな柱になりますね。

主語+述語が複雑になってくると。。。

主語+述語で完成するシンプルな文なら、まだ躓く子も少ないです。

ところが、これがちょっと複雑な文になってくるととたんに、主語と述語がかみ合わない文を書く子が増えてきます。

おばあちゃんの家で食べた野菜は、家で食べる野菜よりもおいしくて好きです。

一見間違いだと思わない人もいるでしょう。でも、この文も主語と述語がかみ合いません。

主語 ⇒ 野菜は

述語 ⇒ 好きです

となってしまいますね。この文に違和感がない子は、さらに複雑な構成の文を書くようになったときに、無意識にねじれのある文を書いてしまう恐れがあります。

口頭で話す分には何の問題もないのですが、文章となるとやはり正確に書きたいですね。特に受験科目に作文がある子ならなおさら。

ちなみに、先ほどの文なら、ふたつに分けるのがよいでしょう。

おばあちゃんの家で食べた野菜は、家で食べる野菜よりもおいしいです。だから、私はおばあちゃんの家で食べる野菜が好きです。

ふたつにわけたのにも理由があります。

なぜでしょう?

一文にはひとつの意味を

おばあちゃんの家で食べた野菜は、家で食べる野菜よりもおいしいくて好きです。

(面倒なので、今後は「おばあちゃんちの野菜の文」と呼びます笑)

この文には、ふたつの意味があります。

  • おばあちゃんの家で食べた野菜は家で食べる野菜よりもおいしい
  • (私は)おばあちゃんの家で食べた野菜が好きだ

このふたつですね。

通常、ひとつの文にはひとつの意味を持たせるようにします。ふたつ以上の意味を持たせようとすると、文がねじれたり、なにを言いたいのかが伝わりにくくなるからです。

この視点で見た場合、おばあちゃんちの野菜の文は、ふたつに分けたほうが賢明ですよね。

 

私たちが書く文章は、まさに、おばあちゃんちの野菜の文のようにふたつ以上の意味を持たせようと欲張ったものが多いです。

相手に伝わる文章を書くためにも、一文にはひとつの意味を持たせるように意識しましょう。

重複にも注意

さて、もうひとつ、基本をおさえておいてほしいポイントがあります。

主語と述語がかみ合わないこと、いわゆる「文のねじれ」についてはよく知られていますが、その中でも、特徴的なねじれの文があります。

たとえば、

いちばんおもしろかったのは、友達と遊んだのがおもしろかったです。

という文ですね。うちの子がよく書いているわ! という保護者の方も多いのではないでしょうか?

いちばんおもしろかったのは、友達と遊んだことです。

という文章がなかなか浮かびません。さらに厄介なのが、書いている本人が、どこが間違っているのかを理解できないことなのです。

受験対策の作文にも、やはり、登場します。

筆者が述べている本来のやさしさとは、相手のためを思う気持ちが基本にあり容易に見返りを求めないのが本当のやさしさと述べている。

文の内容が複雑になればなるほど、このような重複は起きやすくなります。無意識に書いてしまうことも多いため、十分注意する必要がありますね。

この文を手直しするとしたら、次のようになります。

  • 筆者は、相手のためを思う気持ちが基本にあり容易に見返りを求めないのが本当のやさしさと述べている。
  • 筆者は、本来のやさしさについて、相手のためを思う気持ちが基本にあり容易に見返りを求めないものと述べている。
  • 筆者が述べている本来のやさしさとは、相手のためを思う気持ちが基本にあり容易に見返りを求めないことである。

 

ちなみに、冒頭でご紹介した文は、

資料Bで思考停止してしまったのは、経済が成り立たないで思考停止してしまったということだ。

でした。こちらも手直ししてみましょう。

  • 資料Bで思考停止してしまった原因は、経済が成り立たないことにある。
  • 資料Bで思考停止してしまったのは、経済が成り立たないことが原因だ。
  • 資料Bで述べているのは、経済が成り立たないため思考停止してしまったということだ。

基本は大切

今回の内容について、

「そんなのわかってるよ!」「そんなのあたりまえでしょ?」

と思う人も多いでしょう。できる人には当然ではありますが、正確に把握できていない人も実は多いのです。

日本語は主語がなくても意味が通じます。特に、会話では主語が省略されることがほとんどです。ですから、いざ書く段階でも、会話と同様主語が抜けてしまう子が目につきます。

会話ならまだしも、書くという行為においては、日本語は毎日使ってるのだからできて当たり前、とはならないんですよね。

デジタル世代の子どもたちは、書くことがぐっと減っているように思います。せめて基本だけでもおさえてほしいな、そう思ってます。

 

 

ABOUT ME
菅野恭子
筑波大学第二学群日本語・日本文化学類卒。 作文指導に定評のある言葉の森にて指導に携わる。 現在、言葉の森の教材・指導法にてシンクス東品川教室・シンクス上永谷教室・シンクス阪東橋教室で作文教室開講中。 2000年2001年2002年生まれの三兄弟の母。