こんにちは!
作文を優しく教えるきょうこ先生です。
今回は、2023年の課題図書
『フードバンクどろぼうをつかまえろ!』
をもとに、読書感想文の書き方を解説していきます。
『フードバンクどろぼうをつかまえろ!』について
いったいどんな本なの?
というところから、お話していきましょう。
みなさんは、フードバンクという言葉を聞いたことがありますか?
フードドライブという言葉はどうでしょう?
もしかしたら、スーパーやイベントで、フードドライブというのぼりを目にしたことがある人もいるかもしれません。
包装が破れているとか、プリントにミスがあるとか、在庫があまっているとか、商品自体には問題がないけれど、売ることができないものを、企業や販売業者が福祉団体や貧困家庭に無償で提供するシステムです。
食べるのに困っている家庭にとっては、命綱でもあるフードバンク。
そのフードバンクにどろぼうが入っているらしい、というのが、この物語の設定です。
登場人物について
おもな登場人物についてご紹介しましょう。
まずは、主人公から。
主人公は、ネルソンという男の子。看護師のお母さんと、妹のアシュリーの三人家族です。お父さんはというと、
ぼくたちよりも大切な人ができて家をでていった。
と、ネルソンが語っています。
お父さんが家を出て行ってから、3人はいつもおなかをすかせています。食べ物を手に入れる収入がないから。ネルソンとアシュリーに申し訳ないと思うお母さんの悲しい顔が、ネルソンにとっていちばんの気がかり。お母さんが悲しそうな顔をしなくてすむようになる、というのがネルソンの願いです。
食べるものに困っているネルソンの家。フードバンクからもらう食べ物が、大切な食糧です。
そして、ネルソンには、ふたりの親友がいます。
ひとりはクリシュ。サッカーが好きで、スパイになりたい男の子。
もうひとりはハリエット。カーレースが好きで、発明家になりたい女の子。
クリシュとハリエットの家はお金持ちなので、戸棚の中はいつも食べ物でいっぱい。自分の家の戸棚を、こんな食べ物がいっぱいの状態にするのも、ネルソンの夢です。
おもな登場人物は、この5人です。
お話のあらすじ
ネルソンの家では、いつも食べ物に困っている。そのため、フードバンクでもらう食べ物が大事な食糧だ。朝ごはんは、学校の朝食クラブで食べている。
ある日、その朝食クラブで、とんでもないうわさを耳にする。なんと、フードバンクにどろぼうが入っているようだと。
その日の帰り、フードバンクに寄ったネルソン家の3人。もらえた食糧は、いつもよりずっと少なかった。ネルソンは、あのうわさは本当だったんだと確信する。
前にもましておなかをすかせているネルソンを心配したクリシュとハリエットは、なにかと食べ物を分けてくれるが、友達にそんなことをさせているのが悔しくて、ネルソンは怒ってしまう。そして、フードバンクにどろぼうが入っているらしいとふたりに打ち明ける。
なんとかしないと! と立ち上がった3人は、どろぼうをつかまえる作戦を立て、実行にうつす。
こんな内容です。
みどころや考えるポイント
3,4年生で食の貧困を自分事として考えられる子は、それほど多くないように思います。
また、母子家庭の貧困というややデリケートな点もあるので、個人的にはここに重きを置くのはどうかと感じてしまうのですよね。
仲良し3人がどろぼうをつかまえるというスリリングな展開に注目した方が、感想文が書きやすいのではないでしょうか。
また、フードバンクについて親子で調べてみるのもおすすめ。スーパーやイベント会場でフードドライブをみかけることも多くなってきていますから、実際に寄付してみるのもよい経験になると思います。
そのように、実践したことを書いていくのも大変よいです。
書き方の流れ
では、書き方の流れを説明しますね。
大きく4つのパーツをつくっていきます。
- この本を読んだきっかけとあらすじ
- 印象に残ったところ その1+それを深める話題(自分の体験、聞いた話、想像した話)
- 印象に残ったところ その2+それを深める話題(自分の体験、聞いた話、想像した話)
- 全体のまとめ
基本的な書き方は、このようになります。
書くことが得意なお子さんでしたら、アレンジしてもよいです。
もちろん、苦手な子は、この書き方をまねしていくとよいでしょう。
実際に書いてみよう
では、実際に書く内容を考えていきましょう。
ひとつめのパーツと例
まずはひとつめのパーツから。
なぜこの本を読んだのか、それから、あらすじを書きます。
みんなは、どうしてこの本を読んだのでしょう?
- 秘密の大作戦 という言葉が気になったから
- おもしろそうな絵がかかれていたから
- どろぼうをつかまえるというところがスリル満点だと思ったから
- きっとおもしろい本にちがいないと感じたから
- お母さんにすすめられたから
など、手に取るきっかけを思い出してください。
そして、実際に読んでみて、最初の印象と同じでしたか。それともちがいましたか?
あらすじは、前述した内容を参考にまとめていってください。
書き方の例
「秘密の大作戦ってなんだろう。この本、きっとおもしろいだろうな。」
そう思い、私は夏休みにこの本を読むことにしました。本の表紙に、秘密の大作戦という言葉があったのです。いったいどんな作戦なんだろう。どろぼうをつかまえることはできるのかな。私はわくわくしながら本を開きました。この物語は、ネルソンとクリシュ、ハリエットのなかよし3人組が、フードンバンクどろぼうをつかまえるお話です。ネルソンの家は食べるものにこまっているので、フードバンクからもらえる食料がないと、十分に食べることができません。それなのに、どろぼうのせいで、フードバンクからもらえる食べ物まで少なくなってしまいました。そこで、3人でどろぼうをつかまえる作戦を立てるのです。最後には、どろぼうをつかまえて、思いがけないごほうびを手にします。想像していたとおりおもしろいお話でしたが、今まで知らなかったこともわかりました。
最後、下線を引いた部分のように、物語を読む前と読んだあとの変化についてひとこと触れてみるのもおすすめです。
ふたつめのパーツと例
つぎは、ふたつめとみっつめのパーツです。
感想文でいちばん個性を出せるところですよ。
ここでは、印象に残ったところと、それについての自分の同じような体験や人から聞いた話、想像した話などを考えてみましょう。
たとえば、
- 三人がどろぼうをつかまえる場面には、とてもわくわくした
- ネルソンが妹の世話をしているところがすごいと思った
- 最後にどろぼうをつかまえたところにスカッとした
など、物語を読む中で、心に残った場面を取り上げましょう。
そして、自分にも同じような体験がないか、思い出してみてください。
- 自分も弟や妹のめんどうをみることがあるけれど、いつもけんかしてしまう
- どろぼうをつかまえたことはないけれど、たんていごっこをやったときはわくわくした
- お兄ちゃんとけんかして勝ってスカッとした
少しでも似ているな、同じだなと思えることならOKですよ。
お父さんやお母さんにも、同じような話題がないか聞いてみてください。保護者の方が誘導する場合、
「お母さんにも、こんな話題があってね。それは~~~~」
というように、お話ししてあげてください。
そして、もうひとつ、材料になる話題は、「もし~だったら」という想像した話です。
「もし私だったら、こわくてどろぼうをつかまえようとは思えません。」
こんな感じで、想像してみましょう。
書き方の例
私がいちばんいんしょうにのこったのは、三人がどろぼうをつかまえる作戦を立てたところです。まるで自分も参加しているようで、とてもわくわくしました。私には、どろぼうをつかまえるような作戦を立てたことはありませんが、夏休みのかぞくりょこうの計画を立てたときは、おなじようにとてもわくわくしました。私とお母さん、お父さんの三人で、楽しく計画を立てました。お母さんも計画を立てるのがとても好きだそうです。反対にお父さんは計画を立てるよりも、行き当たりばったりで旅するほうが好きだそうです。(←聞いた話)ネルソンたち三人も、こんな気持ちでわくわくしたのだろうなと思いました。(←同じような体験)もし、私がこの三人のなかまだったらと考えてみました。計画を立てるのは楽しそうだけれど、じっさいにどろぼうを前にしたら、こわくて計画どおりには動けなくなってしまいまそうです。(←想像した話)
みっつめのパーツと例
みっつめのパーツは、ふたつめのパーツをもうひとつ作るイメージです。
印象に残った場面をもうひとつ考えて、同じような話と聞いた話、想像した話をセットで考えてみてください。
印象に残ったこと以外にも、フードバンクについて調べてみるとか、実際にフードドライブに寄付してみるとか、実践したことを書くのもよいですよ。
書き方の例
この本に出てくるフードバンクというものが何か、気になりました。日本にもあるそうです。お母さんに話してみたら、〇〇スーパーに寄付するコーナーがあるから行ってみようといわれました。前にもらってずっと食べていない缶詰があったので、それを寄付することにしました。この缶詰が、こまっている人の役に立つのだなと、なんだかいい気分になりました。もし、また食べないものやそれほど好きではないものをもらったら、すぐに寄付しようと思います。
よっつめのパーツ
さあ、最後ですよ。
最後は、全体の感想を書いてまとめましょう。
読み終えてどんな気持ちになった?
どんな発見があった?
思ったことをすなおに書いてみましょう。
正解を求めなくてだいじょうぶです。
書き方の例
読み終わって、とってもうれしい気持ちになりました。なぜなら、どろぼうをつかまえたクリシュたちに、ごほうびがあったからです。それだけではありません。いつもかなしそうな顔をしているネルソンのお母さんが、ひさしぶりに、えがおになったからです。どろぼうに立ち向かうなんて、ネルソンたちはほんとうにゆうきがあるなあと思いました。わたしには、まだそんなゆうきがないけれど、こまったことがおきたら、ゆうきをもってたちむかっていきたいです。
全体のまとめなので、思ったことをなるべくくわしく書いてみましょう。
さいごに
いかがでしょうか?
なんとなくイメージをつかんでいただけましたか?
感想文なんて大っ嫌い!
そういう子もいるかと思います。少しでも嫌な気持ちにならずに書き上げることができるよう、応援しています。