作文の書き方

ちょっと説明を加えるだけ! 伝わる作文を書くコツ【中学年まで】

「やっと着いた!」

といいました。これは、元日から三日まで沖縄に行った話です。二日目のときビーチに行きました。

まるで観光客のようにツアーを体験しているようです。私は、この沖縄をまんきつできたと思います。

前の話は、夏ぐらいにふくしまに行って楽しんだことがおもいでになっています。

私は、また行ってまんきつしたいと思いました。

中学年の生徒さんの作文です。

この作文を、より充実させるにはどうしたらよいでしょうか。

ほんの少しの工夫で、ぐっとよくなる可能性を秘めています。

今回は、中学年くらいまでの生徒さん向けに、伝わる文章を書くコツについて解説したいと思います。

Contents

ここをこう直したら伝わる!

早速はじめていきましょう。

例に挙げた作文の改善点を、説明していきます。

第一段落には情報を追加

この子は、1/1から1/3まで家族で沖縄旅行に行きました。二日目に、楽しみにしていたビーチへ出かけたそう。せっかくですから、この情報を盛り込みましょう。

「やっと着いた!」

といいました。これは、元日から三日まで沖縄に行った話です。二日目のときビーチに行きました。

「やっと着いた!」

私たちの乗った飛行機が、那覇空港に着陸しました。元日から三日まで、家族で沖縄に行ってきました。二日目は、楽しみにしていたビーチに行って、泳ぎを楽しみました。

使う言葉を工夫したり、説明を補ったり、ほんの少し手を加えました。それでも、読んだ時に受ける印象は、全く違うものになりましたよね。

まず、書き出しのかぎかっこのあとに続く言葉を工夫しました。飛行機が沖縄に着いたときに口にした言葉ですから、単に「言いました」という代わりに、「私たちの乗った飛行機が、那覇空港に着陸しました。」とまとめてみました。

つぎは、「これは、元日から三日まで沖縄に行った話です。」を「元日から三日まで、家族で沖縄に行ってきました。」に変えました。家族でとひとこと加えることで、一文の中に誰と行ったのか説明を加えることができました。

最後は、「二日目のときビーチに行きました。」を「二日目は、楽しみにしていたビーチに行って、泳ぎを楽しみました。」としました。話を聞いたところ、ビーチに行くのをとても楽しみにしていたとのこと。また、一月なのに泳ぐこともできたのだそうです。というわけで、楽しみにしていたことと泳ぎを楽しんだことを加えました。

第二段落は説明をくわえてみよう

つぎの第二段落も、少し工夫してみます。

まるで観光客のようにツアーを体験しているようです。私は、この沖縄をまんきつできたと思います。

まるで観光客がツアー体験するように、あちこち観光しました。焼けてしまった首里城も見ました。私は、今回の旅行で、沖縄をまんきつできたと思います。

まず、最初の一文。「まるで観光客のようにツアーを体験しているようです。」は、ややわかりにくいですね。家族で観光に行ったそうなのですが、あちこち回ったため、その様子をツアー客のように感じたのですね。「まるで観光客がツアー体験するように、あちこち観光しました。焼けてしまった首里城も見ました。」に変えると、ぐっと意味が伝わるようになると思います。観光した場所については、わかれば書き入れたいところですが、首里城以外は覚えていないとのことなので、「焼けてしまった首里城も見ました。」と、首里城のみ情報を加えました。

また、「私は、この沖縄をまんきつできたと思います。」は、少し表現を変えて「私は、今回の旅行で、沖縄をまんきつできたと思います。」にしました。

第三段落は詳細に

第三段落は、今回の沖縄旅行のほかに、家族旅行の思い出について書く段落です。

前の話は、夏ぐらいにふくしまに行って楽しんだことがおもいでになっています。

去年の夏は、家族で福島の会津に行きました。しんせんな野菜を採って家族で料理しました。帰りには、たくさんの野菜を持って帰りました。みんなで料理したことが楽しい思い出になっています。

はじめの内容では、やはり情報不足です。福島では、採りたての新鮮野菜で料理したことが印象に残っているそう。その情報は入れたいところです。

第四段落は全体のまとめになるように

そして最後の段落。まとめの段落ですね。

私は、また行ってまんきつしたいと思いました。

この一文でもよいのですが、さらによいものを目指すなら、もう少し付け加えたいですね。

たとえば、

私は、家族で旅行に行くのが大好きです。今年もまた、家族旅行をまんきつできたらよいなと思います。

沖縄旅行に福島旅行、いずれも楽しんできたので、この子は家族旅行を存分に楽しめるのでしょう。それなら、「私は、家族で旅行に行くのが大好きです。」とひとこと加えてみましょう。

修正後の作文、いかがでしょう

そしてできあがった内容が、こちら。

「やっと着いた!」

私たちの乗った飛行機が、那覇空港に着陸しました。元日から三日まで、家族で沖縄に行ってきました。二日目は、楽しみにしていたビーチに行って、泳ぎを楽しみました。

まるで観光客がツアー体験するように、あちこち観光しました。焼けてしまった首里城も見ました。私は、今回の旅行で、沖縄をまんきつできたと思います。

去年の夏は、家族で福島の会津に行きました。しんせんな野菜を採って家族で料理しました。帰りには、たくさんの野菜を持って帰りました。みんなで料理したことが楽しい思い出になっています。

私は、家族で旅行に行くのが大好きです。今年もまた、家族旅行をまんきつできたらよいなと思います。

どうでしょうか? 書いていることの題材は同じなのですが、かなり伝わる内容になったのではないかと思います。

どうしたら伝わるのか

今回、手を加えた点は以下のとおりです。

  • 名前を詳しく(地名などを追加:那覇空港 首里城 会津)
  • 誰と(家族で という情報を追加)
  • 行動の詳細(福島でやったことを追加)

人に伝えるための作文を書くには、他者目線で読んだときに理解できるかどうかを意識する必要があります。ところが、中学年くらいまでは、客観的に見ることが難しい場合もあります。

  • 名前を詳しく書いていこう
  • 誰といったのか どうやっていったのかも書いてね
  • そこでどんなことしたの

というように、具体的に書いてほしいことを示してあげると、結果、人に伝わる作文になっていきます。

作文が苦手な子ほど成功体験が必要

特に、自分がしたことは、行動の詳細について全く触れない子が多いです。文章にするのが面倒だと感じるからのようです。というのも、自分がしたことは情報量が多いため文章にするため整理しなくてはなりません。この作業が苦手な子が目立ちます。

今回参考にした作文だと、夏に福島旅行の詳細が皆無でした。

「福島でどんなことをしたの?」

と尋ねると、かなり詳細に説明できるのですが、文章にするとなると、すっぱりカットしてしまうのです。このように、

口ではいくらでも説明できるのに、書くとなるとあっさりしすぎ

という子は、書き方がわからないだけのことが多いです。書くことは、話すこと以上に訓練が必要です。

「あ、こう書いたらいいんだ!」

という成功体験を積んでいくことが、作文が書けるようになるには大切だと思います。

 

 

 

 

ABOUT ME
きょうこ先生
2003年より作文指導に携わる。東京(品川)横浜にて対面指導。 現在はオンラインをメインに、愛媛県松山市にて対面指導を行っている。長く続けてくださる生徒さんが多いのが自慢!(平均5〜6年。最長は13年!) 作文がスラスラ書けるようになった、国語の成績がぐ〜んと上がったという声はもちろんのこと、自分の意見が言えるようになった、コミュニケーション力が上がった、親子の会話が増えたなどの声も多くいただく。