作文の書き方

受験作文練習用課題【失敗から学んだこと】

みなさん、こんにちは!

作文講師の菅野恭子です。学習塾シンクスで作文クラスを担当しています。

こちらの記事で、受験作文対策用に練習できるテーマをいくつか挙げています。

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今回は、その中から「失敗から学んだこと」の書き方を解説していきます。

失敗にまつわる題材は、受験作文においてもよく出題されるテーマです。

例をあげてみましょう。

「失敗しない者はたいてい何も生み出さない」という言葉について、あなたはどのように考えますか? あなたの体験をふまえて書きなさい。(平成30年度都立広尾高校)

 

「成功と失敗のいちばんの違いは、途中であきらめるかどうか」これはアメリカ合衆国の実業家スティーブジョブズの言葉です。この言葉についてあなたはどのように考えますか。自分の体験をふまえて720字以上800字以内で述べなさい。(平成29年度都立府中高校)

 

失敗に関連する内容について、やはり体験をふまえて書かせる内容の出題です。失敗から学んだ体験は、対応できるテーマが多いといえますので、しっかり準備しておくとよいでしょう。

Contents

【書く前の準備】どんな失敗を書くか考えよう

失敗したこと。

今までに、いろいろな失敗を重ねてきたと思いますが、このような課題で書く場合、なるべく新しい話題が好ましいです。高校受験の作文で書くなら、小学生のときのできごとでなく、中学生になってからの出来事の中から「失敗から学んだこと」の題材を選びましょう。

どのような失敗体験から何を学んだのか、問われているのはここです。自分自身の体験の中から、最適な話題を見つけ出してくださいね。

というわけで、「失敗体験とその失敗から学んだこと」について書くことを決めましょう。

また、失敗体験については、伝記や著名人のエピソードも多く、参考になる話題に事欠きません。この機会に、歴史に名を残した人物や各界で成功した人物の失敗体験を調べてみても勉強になると思います。

このような本を読んでみるのもおすすめ。

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さて、書く前の準備が整ったら構成の確認に進みます。

構成は

  1. テーマについて状況説明
  2. 失敗体験その1
  3. 失敗体験その2
  4. まとめ(失敗から学んだことは)

まずは、失敗について考えることを提示します。状況説明と表現しましたが、自分の考えのほかに一般的に失敗が世間で持たれるイメージなどを書いてもよいです。失敗といったら、まず、マイナスのイメージが浮かびますよね。

状況説明は、つぎのような書き方になります。イメージできるでしょうか?

失敗は、ほとんどの人が避けたいものだろう。できれば失敗したくないというのが本音ではないだろうか。ところが、失敗を失敗で終わらせず、自分の成長につなげることもできる。中学時代に、そのことを実感した出来事があった。

失敗という言葉は、一般的にマイナスのイメージを持たれるものだ。ところが、歴史上の成功者の多くは、失敗を成功への糧にしている。発明王エジソンは、特に有名だ。私も中学生になり初めて、失敗は怖くないし、反対に成功するために必要なものだと考える体験をした。

このように、失敗について自分を含め社会の一般的なイメージと、そのイメージを覆す体験をしたという内容を書くとよいでしょう。いまから書くことは失敗、それから失敗から学んだことに続いていきますよ、と提示できるようにします。

第二段落の書き方

では、実際に失敗から学んだ体験を書いていきましょう。

失敗をしたこと。そして、その失敗をどう乗り越えたのか。乗り越えた結果、学んだことは何か。

この点を書き入れるようにしましょう。

中1のときに学級委員になった。人前に出るのは好きだし、リーダーシップも取れるほうだと思っていたから、自分から立候補した。ところが、私はまだまだ未熟だった。みんなの意見をまとめることもできず、不満を持ったグループからは文句ばかり言われてしまった。学級委員になったことを後悔したが、逃げるのは絶対に嫌だと思った。どうしたらよいのか考えた結果、なぜうまくまとめることができなかったのか、自分が至らなかった点を素直に反省した。私は、自分の価値観で物事を判断していた。クラス全員の気持ちを想像し、寄り添うことができなかったのだ。自分の過ちに気づいた私は、その後中2、中3でも学級委員に立候補して、失敗した原因を改善してきた。その結果、中3では、みんなの信頼を得ることができ代表委員長に推薦された。中1での失敗体験がなければ、私は未熟なリーダーのままだっただろう。

第三段落の書き方

第三段落も、第二段落同様、失敗から学んだことを書いていきます。

失敗したときに、周囲の人にアドバイスをもらったとか、読んでいる本の中の一文に勇気をもらったとか、そういう「聞いた話」を入れるのもよいです。

また、もうひとつ、失敗から学んだことがある。中2のとき、部活でスランプに陥ったことがあった。ここで点を取らねばというときに、簡単なミスをしてしまう。チームのみんなにも迷惑をかけていることをひしひしと感じ、なんとかしようと思うほど緊張してミスにつながるという悪循環から抜けられなかった。そんなとき、厳しくて有名な先輩から声をかけられた。「緊張してもしなくても、ミスするときはするんだから。それに、一人ひとりできることをやればいいの。だれも迷惑だなんて思ってないから、安心して。」先輩はぶっきらぼうにそう言った。その一言に、私の心はほっと緩み、スランプだったことが信じられないくらい、絶好調になった。そのとき私は、たった一言でも、悩んでいる人を勇気づけることができることと、人のあたたかさを学んだ。自分も人の気持ちを明るくさせる人になりたいと思った。

参考例がやや長くなりましたが、雰囲気をつかんでもらえたらと思います。

第四段落の書き方

第四段落は、失敗から学んだことを今後どのように生かしていきたいか、今後の展望を書いてまとめます。

第二段落と第三段落でそれぞれ失敗から学んだ体験について書いてもらいました。そのふたつの体験を通して、学んだことは何でしょう?

たとえば、

  • 失敗することで初めて知ることがある
  • 失敗を乗り越えることで成長できる
  • 失敗は恐れることではない
  • 失敗は成功するために避けて通れないもの

こんなふうに、失敗の定義ができそうです。その定義こそが、

「失敗から学んだこと」

になります。

私は、このような体験を通して、失敗することで初めて知ることがあるとわかった。それならば失敗は、自分が成長するためには避けて通れないものであると思う。失敗というと、とても悪いものと考えてしまうが決してそうではない。失敗してしまったら、どう乗り越えていったらよいのかを考えるのが大切だ。失敗は、乗り越えることに意味があるということを、失敗を通して学んだ。これからも、失敗を単なる失敗で終わらせず、必ずなにかを学び取れる人でありたい。

どうでしょうか。

段落ごとの内容は、イメージできましたか?

 

作文も同じです。失敗したら、それをもとにさらによい内容のものを書いていく。もともと上手な人なんていません。練習あるのみです! がんばってね。

 

 

 

ABOUT ME
きょうこ先生
2003年より作文指導に携わる。東京(品川)横浜にて対面指導。 現在はオンラインをメインに、愛媛県松山市にて対面指導を行っている。長く続けてくださる生徒さんが多いのが自慢!(平均5〜6年。最長は13年!) 作文がスラスラ書けるようになった、国語の成績がぐ〜んと上がったという声はもちろんのこと、自分の意見が言えるようになった、コミュニケーション力が上がった、親子の会話が増えたなどの声も多くいただく。